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岡山のパン

「パンで地元を盛り上げたい」と意気込む重冨さん(里庄町で)
「パンで地元を盛り上げたい」と意気込む重冨さん(里庄町で)

 テレビ番組で日本一

 岡山のパン業界には、全国から熱い視線を集める職人がいる。

 「ここでしか食べられないパンで、大勢の人に喜んでもらいたい」。そう語るのは、里庄町の「ソルベーカリー」の店長・重冨朋子さん(37)。日本トップクラスの腕を持つ職人として知られ、多い日で1000人以上が来店する。

 同町出身で、幼い頃から料理が好きだった。ラーメン店の店長やグルメ情報誌の営業などをしていたが、「自分の店を持つ」との以前からの夢をかなえるため、20歳代の半ばから倉敷や総社市のパン店で修業し腕を磨いた。

 全国に知られるようになったのは、2017年2月のこと。各地の職人が製パン技術を競う「ベーカリー・ジャパンカップ」の調理パン部門で、初出場ながら準優勝を果たした。同年4月に念願の店をオープンさせ、その翌年、「優勝すれば常連さんが喜んでくれるかも」と出演したテレビ番組で、日本一のパン職人に選ばれた。

 だが、県を代表する人気店となった今でも、買い手の視点は忘れない。「やっぱり具がいっぱいの方がうれしいでしょ」と、準優勝を勝ち取った名物「餃子ぎょうざパン」やあんパンなど、店内に並ぶ約200種類の商品は全てボリュームたっぷり。「売り切れでがっかりしてほしくない」と、早朝から午後6時の閉店直前まで品ぞろえに気を配りつつ心を込め生地をこね、パンを焼き続ける。

講師(左)からパン作りに使う機器の使い方を聞く「リエゾンプロジェクト」の参加者(岡山市北区で)
講師(左)からパン作りに使う機器の使い方を聞く「リエゾンプロジェクト」の参加者(岡山市北区で)

 5日間の開業支援研修

 パン店主の育成制度も、独自の発達を遂げる。

 「このヘラを使って生地を整えます」との説明に、参加者は講師の手元を熱心にのぞき込んだ。岡山市北区駅前町のキッチンで開かれているのは、県内に複数の店舗を持つ「おかやま工房」が行うパン店開業支援「リエゾンプロジェクト」の研修だ。うたい文句は「未経験者でも5日間でパン屋になれる」。その言葉通り、09年以降、研修生がオープンさせた店は全国250に及ぶ。

 短期でのノウハウ取得を可能にするのは、徹底したマニュアル化だ。配布されるレシピには「少々」や「人肌の温度」といった曖昧な表現は排除され、全て数値化されている。生地は無添加で、国産小麦を使用するのがルール。「合理性と素材へのこだわりが、本物のパンを作る」と、プロジェクトマネジャーの平井勝さん(51)は語る。

 少人数グループで講師から説明を受けながら、実際にキッチンで作業を経験し、5日後には食パンやクロワッサンなど18種類のおいしいパンが作れるようになるという。製パン技術だけでなく、材料の仕入れ先や使う道具、接客や帳簿の付け方まで、開業に必要な全ての知識が学べる。

 研修の参加者は、サラリーマンや主婦などさまざま。IT企業に勤める神奈川県の男性(41)は有休を取得して参加したといい、「このまま会社員を続けることに疑問を感じ、店をやりたいと思った。実演しながら説明してくれるので分かりやすい」と話した。「後継者不足でまちのベーカリーが減りつつある。小規模ながらも地域に愛される店を増やし、おいしいパンを身近なものにしたい」と平井さん。岡山で進化を遂げたパン文化が、全国に広がりつつある。(上万俊弥)(おわり)

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使い方
1991060 0 New門@岡山 2021/04/17 05:00:00 2021/04/17 05:00:00 2021/04/17 05:00:00 「日本一」の腕前を持つ重冨さん(里庄町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210416-OYTAI50023-T.jpg?type=thumbnail

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