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<中>農家苦境 コロナ追い打ち

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農業振興

 稲穂が広がる赤磐市の田んぼに隣接する作業所内で、壁に取り付けられたタッチパネル式のモニターを「ファーム安井」の社長・安井正さん(53)が操作していた。同社が所有する田んぼを含む一帯の空撮画像が映し出されており、稲の実り具合が色分けされて示されていた。

田んぼの状況の空撮写真を確認する安井さん(赤磐市で)
田んぼの状況の空撮写真を確認する安井さん(赤磐市で)

 同社が所有する田んぼ計36ヘクタールは、同市や岡山市などに点在しており、足を運んで確認する必要があった。だが、2019年、先端技術を駆使した農林水産省の「スマート農業」の実証事業への参加を契機にドローンなどの活用を始め、離れた畑でも一目で出来具合を確認できるようになった。

 元々、肥料や水の量などを計算し尽くし品質重視の米作りにこだわってきた安井さん。その一助になればと導入したドローンや自動運転のトラクターは、作業時間を約3割、人件費を約7割削減するという効果をもたらした。安井さんは「米の需要が減り続けている。『質より量』という価値観を転換し、可能とする人材育成を進めるのがこれからの農業だ」と語る。

 農水省は3月、「農業DX(デジタル・トランスフォーメーション)構想」を打ち出した。農機の自動運転やAI(人工知能)、ビッグデータなどのデジタル技術を活用し、農業の競争力強化を目指したものだ。

 しかし、こうした方向性をうまく活用する農家がある一方で、農業の現場には多くの課題が横たわる。

 県内の昨年の農業従事者の平均年齢は71・5歳で、全国平均(67・8歳)を上回る。19年の県内の荒廃農地(耕作放棄地)は1万748ヘクタールで、5年前に比べて約2000ヘクタール減少しているが、県の担当者は「再生が進んだわけではなく、荒廃が進んで完全に山野に戻ったり、農業以外の用途に転用されたりしているケースが多い」と語る。

 これらの問題に、新型コロナウイルスによる外食需要の低迷を原因とする米価下落が追い打ちをかける。農水省が発表した21年産米の9月の取引価格(卸値)は、全銘柄の平均で60キロ・グラム当たり1万3255円。前年同月(1万5143円)比で1割以上下落し、コロナ前の19年同月比では2割近く下がっている。

       ◇

 約800枚の田んぼが広がり「日本の棚田百選」に選ばれている美咲町 大垪和おおはが 西地区。60年以上にわたって米作りを続ける北山昇さん(84)は「地区は高齢化が進む。景観を残すためにも頑張っているが、米の値段が下がって厳しい状況にある」と表情を曇らせる。

 先祖代々米作りをしてきた北山さんは、中学時代から水田で牛を引くなど家業を手伝い、現在は約1・2ヘクタールで米を作る。これまで夫婦で田おこしや草刈り、稲刈りをこなしてきたが、最近は体力に自信がなくなってきた。だが現在の状況で、子どもに「後を継いで」とは言えないでいる。

 美しい風景を守ってきた米農家としての誇りと、米作を取り巻く厳しい環境に、北山さんの心は揺れ動く。「棚田を守り、安心して生活できる農業環境を、みんなで考えてもらえたらね」とつぶやいた。

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2464125 0 争点を問う 21衆院選 2021/10/23 05:00:00 2021/10/23 05:00:00 2021/10/23 05:00:00 ドローンで空撮された田の出来具合を確認する安井さん(赤磐市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211022-OYTAI50017-T.jpg?type=thumbnail

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