全国初 玉野競輪場内にホテル
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宿泊施設少なく 経済効果に期待

玉野市築港の玉野競輪場内に、全国初となる<競輪ホテル>の建設が進められている。レースに臨む選手が宿泊する宿舎を一般客も泊まれるホテルとしても活用する計画で、競輪以外の競技を含めても、競技場と一体となった宿泊施設は国内にはないという。同市内には宿泊施設が少なく、新型コロナウイルスの感染収束後の経済効果が期待されている。(松本慎平)
市競輪事業課によると、同競輪場は施設の老朽化と入場者数の減少のため、昨年4月から再編整備に着手。来場せずインターネットで車券を購入する人が増えており、今のメインスタンドなどを取り壊し、規模を縮小して事務所や車券売り場を集約した新施設を建てる。事業費の約20億円は競輪事業の収益で積み立てた基金から支出し、新たな市の負担は発生しない。
選手宿舎兼ホテルは、再編により空いた土地に建設する。玉野競輪場を運営する民間企業「チャリ・ロト」(東京都品川区)が、約30億円を投じて整備する。鉄骨8階建てで、延べ床面積は約5700平方メートル。1階部分はフロントと選手の控室や検車場などで、ホテルと競輪場の両方の機能を備える。
7、8階が年間を通じて一般客が利用するフロアで、ツインルームやデラックスルームとして使われる。2~6階は選手が宿泊するシングルルームだが、レースなどがない年260日程度は一般客が利用する。不正防止のため、一般客と選手は別動線となっており接触はできない。現在はスタンドの解体がほぼ完了し、今月中にもそれぞれの建設を始めるという。
ホテル運営会社「温故知新」(同新宿区)によると、名称は「KEIRIN HOTEL 10」とし、来年3月に開業予定。内装には、解体されたスタンドの椅子などの再利用を検討しており、競輪場内のホテルならではの施設に仕上げたいとしている。
玉野市内には宿泊施設が少なく、3年ごとに周辺で開催され、約100万人以上が訪れる瀬戸内国際芸術祭の来場者も市外に泊まることが多かったという。市競輪事業課の担当者は、「芸術祭のときなどに宿泊してもらうことで、市への経済効果も期待できる」と話している。