読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

社員劇団座長 引退公演

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

三菱自動車水島・中村さん

 三菱自動車水島製作所(倉敷市)の社員らでつくる「劇団くるま座」を、2002年の旗揚げから率いる同製作所社員・中村建治さん(65)が、30日のリモート公演を最後に、「座長」を引退する。約20年かけて人気劇団に育てたが、定年退職を機に後輩に譲るという。(岡信雄)

旗揚げから20年 涙あり笑いあり

 今月中旬、同製作所前の労働組合会館ホールに、稽古に励む団員の姿があった。

 八兵衛「自粛続きで銭のまわりが悪くなり、小遣いに困っている」

稽古に励む団員ら。「水戸黄門」ではグループのシンボルマーク「スリーダイヤ」の印籠をかざす(倉敷市で)
稽古に励む団員ら。「水戸黄門」ではグループのシンボルマーク「スリーダイヤ」の印籠をかざす(倉敷市で)

 銭形平次「銭がねえときちゃあ、銭形平次、だまって聞いちゃいられねえ」――。

 「まぶたの母」をメインに「水戸黄門」と「銭形平次」の名場面をそれぞれ演じる。中村さんは、客席から「いいよ、とってもいい」と大声で指示し、気づいた点を指摘した。

 定時制高校卒業後、職を変えつつ親類を頼って倉敷市に転居し同社に入った。中学校でPTA役員を務めていた際、マラソンの有森裕子さんを題材に校内で演じた寸劇の手応えが、劇団結成のきっかけになった。

稽古を見守る中村さん(倉敷市で)
稽古を見守る中村さん(倉敷市で)

 同僚らを誘って13人で旗揚げし、会社の昼休みを中心に稽古を続けた。年5回は福祉施設を回り時代劇を中心に演じ、公演は通算107回に達した。劇団では台本の執筆や演技指導など裏方が多いが、急用などで俳優陣が出演できない場合には代役を務めてきた。

 公演では時事ネタを織り込み、笑いで客席を引きつけるなど、工夫を重ねた。やがて衣装を縫ってくれたり、時代劇の小道具を無償提供してくれたりする熱心なファンも現れ、人気劇団となった。一方、リコール隠しや燃費不正問題などで、会社が批判にさらされた時は舞台で謝罪することもあった。

 仕事との両立は大変ではあったが、長く続けられたのは、ファンと中村さんを慕う個性派ぞろいの俳優陣のおかげだった。

 定番の「瞼の母」で女将役を演じる森田真理枝さん(48)は同じ職場の同僚で、結成当初からの団員だ。「お客さんは泣いて喜んでくれるんです。こちらも感動しますよ」と笑う。「目の前の数字を追いがちになる仕事と違い、ボランティア劇団はネガティブな要素がなにひとつない」と、入団約10年の上原浩一郎さん(47)は胸を張る。

     ◇

 新型コロナウイルスの感染拡大で昨年2月以降キャンセルが相次ぎ、中村さんの<引退公演>が開けない可能性もあったが、リモートを提案し、花道を作ってくれたのが北尾光教所長(61)だった。北尾所長は「ものづくりは人づくりに通じる。中村さんは劇団員とともに、常に改善が求められる現場で、リーダーシップを発揮してくれた」と語り、長年の活動に敬意を表する。

 108回目となる30日の公演は、テレビ会議システムで、特別養護老人ホーム「あすなろ園」(倉敷市玉島勇崎)と組合ホールを結んで行うため、一般の観覧はできない。それでも、中村さんは「劇団はお金では買えない財産。一人一人に気配り目配りし、長所を伸ばす。そのためには自身も磨く必要があり、結果的に成長につながった」と活動を振り返り、ラスト公演に全力で取り組む。退職後は劇団から一歩引き、「大座長」として活動を見守るという。

 公演依頼などは、新座長に就任する上原さん(080・8981・7754)へ。

無断転載・複製を禁じます
1804293 0 ニュース 2021/01/29 05:00:00 2021/01/29 05:00:00 2021/01/29 05:00:00 リモート公演を目指し、舞台稽古を重ねる劇団くるま座の団員ら。「水戸黄門」では「スリーダイヤ」の印籠を突き出す。(倉敷市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210128-OYTNI50037-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)