復興の街 ペダルこいで
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倉敷市真備町や総社市

西日本豪雨で浸水被害に遭った倉敷市真備町や総社市で、サイクリングを楽しめる環境をつくろうと、官民の取り組みが進んでいる。地元企業が作ったサイクルスタンドを設置する飲食店や観光施設が10か所以上に増えた。一方、倉敷市は拡幅する小田川堤防道路を活用してサイクリングルートを整備し、総社市も新年度から市民の健康づくりに自転車を取り入れる。(岡信雄)
スタンド設置■ルート整備■健康事業
総社市の国民宿舎「サンロード吉備路」で、サイクルスタンドの寄贈式が12日に開かれた。
贈ったのは木製品製造会社「ホリグチ」(倉敷市真備町)で、サドルを引っかける木製スタンド(高さ1・1メートル、幅1・5メートル)には「Beyond Recovery 復興のその先へ」のメッセージが刻印されている。社長の堀口真伍さん(44)は「地元企業として復興のお手伝いをしたかった。街をサイクリングで盛り上げたい」とあいさつした。
サンロード吉備路によると、車に自転車を積んで訪れ、周辺をサイクリングした後、日帰り入浴をして帰る人が増えているという。岩田修支配人は「スタンドがあることで、より多くのサイクリストが立ち寄ってくれるようになれば」と期待する。
スタンド設置を最初に提案したのは、真備町の会社員木谷倍三さん(56)だ。「豪雨で泥まみれになった家の片付けを手伝ってくれたボランティアらに、感謝の思いと町の魅力を伝えたい」と考え、ホリグチに製作を依頼した。その後、地元の竹家具会社、建設会社なども活動に加わり、昨夏以降、それぞれの技術を生かしたスタンドを作り、希望する店舗などに設置している。
真備町には古墳や名所などが点在しているが、「値の張るロードバイクを安心して駐輪できない」などの理由でサイクリストが素通りすることも多かったという。スタンドを設置した店では、昼食をとったり、店先で“買い食い”を楽しんだりする光景もみられる。真備町の美容店「アコリエンテ」の畑和良代表は「カット中も自転車に目が届くと、地元のお客さんにも好評です」と喜ぶ。
倉敷市は、2023年度の完成を目指す防災復興公園(仮称)に近い小田川堤防道路などに延長約9キロのサイクリングルートを整備する方針を明らかにしている。
また、総社市は4月から、自転車の走行距離に応じて、市内で使える商品券に換えられるポイントを付与する「健康サイクリング事業」を始める。
サンロード吉備路でのスタンド寄贈式にも出席した片岡聡一市長は「自転車は、新型コロナウイルス感染防止の面でも今の時代に合っている。『サイクリングのまち』を