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    領事館誘致開始から5年 堺市、アジアと実績築く

    • 堺まつりで、民族衣装を着てパレードする留学生や領事館関係者ら(堺市提供)
      堺まつりで、民族衣装を着てパレードする留学生や領事館関係者ら(堺市提供)

     堺市がまちの活性化のため、領事館の誘致を始めて5年になる。「東洋のベニス」と呼ばれた中世の頃のように、海外とのビジネスチャンスを増やし、国際都市としてもPRする狙いがある。県庁所在地以外の市としては珍しい試みで、今年度も取り組みを強化するという。(横田加奈)

     ■ベトナム

     黄色の一つ星をあしらった赤地の旗が、堺市堺区の旧市街地で風になびく。通行人が振り返るこの瀟洒しょうしゃな7階建てビルがベトナム総領事館だ。かつては大阪市中央区のビルの一室を借りていたが、2009年9月、移転した。

     「あれから堺との交流は劇的に増えましたよ」

     同国のグエン・サウ副総領事(41)は語る。

     ベトナムから来客があれば、市内の寺社や巨大工場群を案内している。堺側も、1~2月の旧正月や9月2日の建国記念日の式典に、市長や企業幹部が足を運んでくれる。総領事館では、日本人向けのベトナム料理教室なども開かれている。

     グエン副総領事は「産業も文化も歴史ある都市。今後も活発に交流し、関係を深めていきたい」。

     ■メリット

     市が領事館など外国公館の誘致に乗り出したのは、08年12月。東南アジア諸国連合(ASEAN◎)との交流を深めるため「アセアン交流推進室」を設けた。

     市は、大阪市より賃料が安く、関西国際空港に近い点をアピール。11年には、シンガポールも民間人が業務を代理する名誉総領事館を開設した。自転車部品メーカー「シマノ」本社内にあり、島野容三社長が名誉総領事を務める。

     「地元にあると親しみを感じ、他国より相談しやすい」(堺商工会議所)

     領事館の存在は、経済や文化交流にも強みを見せる。企業進出や部品発注で情報が得やすく、毎年10月の「堺まつり」では、民族衣装を着た留学生らの参加も目立つようになった。

     ■課題

     ただ、シンガポール以降は新たな成果がない。背景には、大阪市や福岡市などの大都市と比べ、認知度が低いことがある。

     そのため市は、今年度、昨年度から倍増となる約290万円の予算を確保。各国関係者を市のイベントに招待することなどを企画する。ベトナム総領事館が堺に来てからの両国の経済効果や、文化交流の発展についても分析を進める。

     文化観光局国際課の澤田克生課長補佐(45)は「各国が関心を持つような分析結果を出し、PRに弾みをつけたい」と意気込む。

     関西大政策創造学部の橋本行史教授(60)(地域活性化専門)は「領事館の誘致は新しい活性化策の一つ。国の重要機関があると、まちのイメージアップにつながる。そのためにはPRだけでなく、行政と民間が連携して領事館と交流する組織をつくるなど『国際都市』にふさわしい足場固めが重要になる」と話している。

     ASEAN=Association of South‐East Asian Nations

     <領事館> 大使館は東京(153か国)、領事館は主に地方の主要都市に置かれ、各国の外交官が日本政府や各自治体と交渉したり、自国民の保護を行ったりしている。領事館は全国に52か所あり、関西では大阪市や神戸市などに置かれている。県庁所在地以外では、外国人労働者の多い浜松市(ブラジル総領事館)のほか、府内の豊中市(ロシア総領事館)がある。

    2014年06月04日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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