<2>会社守った親子バトン

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「次世代にワインを残していきたい」と語り合う金銅社長(右)と真代さん(羽曳野市内で)
「次世代にワインを残していきたい」と語り合う金銅社長(右)と真代さん(羽曳野市内で)
お店のワインを試飲できる「河内ワイン館」(羽曳野市内で)
お店のワインを試飲できる「河内ワイン館」(羽曳野市内で)

 《「河内ワイン」専務 金銅真代さん 65  4代目社長 金銅重行さん 39》

 ◇ワイナリー体験 次代へ先手

 クリスマスを過ぎても、店のにぎわいは続いていた。「ローストビーフと赤ワインはよく合うわね」。羽曳野市駒ヶ谷のレストランで昨年末、女性客らがワイングラスを傾け、料理を楽しんでいた。

 店を経営するのは今年で創業85年を迎えるワイナリー「河内ワイン」の4代目・金銅こんどう重行社長(39)。「お客様に自社のワインと料理で最高のおもてなしを」と、2013年にワイナリーの敷地内に開店した。フルーティーで香りが良いワインを味わえ、週末は予約が取れないほどだ。順風満帆だが、平成の時代に何度も危機を迎え、乗り越えてきた。

 ◇

 老舗ワイナリーは00年、正念場を迎えていた。大手酒造会社との取引で業績を拡大させた社長の父徳郎さんが、がんで50歳で急逝したのだ。小さい頃は「ワイン工場が遊び場」で、ブドウの搾りかすを掃除した。金銅さんは当時、大学生で、家業を継ぐことも考えたが、「父は長男の自分に継いでほしかったのかもしれない。でも、何のノウハウもないままでは会社の力にはなれない。一度、外の世界で勉強したい」と決意。東京の酒造会社の営業担当になった。

 代わりに会社を守ったのは、専業主婦から専務になった母、真代さん(65)だった。生前、徳郎さんが「外の世界を知ることが大事や」が口癖だったこともあり、息子を自由にさせた。「『嫁がつぶした』と言われたくない。やれるところまでやってやる」と気持ちを奮い立たせた。

 不運も重なった。真代さんが経営を担うようになってすぐに、大口の取引先の業績が悪化。担当者が会社を訪れて「申し訳ありません。もういらなくなりました」と、数千万円の契約が解除となった。

 ワインの知識はなく、下戸だったが猛勉強。難関だった日本ソムリエ協会の認定資格「ワインアドバイザー」(現・ソムリエ)に合格した。フランスの高級ワイン「ロマネ・コンティ」をもじった「ロマネ金亭こんてい」の名でフランスで落語を披露しPR。経営者として努力を惜しまなかった。

 しかし、無理がたたったのか04年、ついに真代さんが過労で倒れて入院し、経営も思うようにいかなくなっていた。真代さんは「ごめん。代わってくれへんか」と電話で伝えた。金銅さんは「ぼろぼろになりながら、よく会社をつなぎ留めてくれた」と感謝。「戻るのは今しかない」と、25歳で実家に入社した。

 ◇

 就任してすぐに改革に乗り出した。採算が取れない商品を廃止し、約60種類から18種類まで絞り込んだ。

 「新たに売り出すには商品のブランド化が必要」と考え、05年から、創業時の屋号を冠した「金徳こんとく葡萄ぶどう酒」を発売。地元の羽曳野市駒ヶ谷産のデラウェアを100%使用したワインをそろえるなどした。

 こうした取り組みで父の死後、落ち込んだ会社の売り上げが回復。「屋号以外は全て父の時代から改めたが、天国の父親も喜んでくれていると思う」と笑う。

 ワインは、ビールと比べて販売量は少ないが、着実に成長しており、「平成はワインが市民権を得た時代だった」と語る。しかし、「これからの時代は、ただ商品を並べるだけでは買ってもらえない」と次の手を打つ。ワインを飲めない人でも楽しめる「ワイナリーのテーマパーク化」だ。数年前から、客にブドウの苗を植えるところから収穫までを体験してもらっている。夜に工場見学する「ナイトワイナリー」も検討する。

 「ワインを通じて、羽曳野の魅力を知ってもらいたい。そのための労力は一切惜しむつもりはない」と前を見据える。(新田修)

 ◇大阪産PRへ 協会発足

 平成に入って、国内では何度もワインブームを迎えた。大手ワインメーカー「メルシャン」によると、ボージョレ・ヌーボーが飲まれるようになった1987年頃~90年頃は、第4次ブームにあたる。その後も、国産低価格ワインや赤ワイン健康法が流行。2012年頃からはチリなど輸入低価格ワインの市場拡大などによる第7次ブームが始まっているという。

 大阪産のワイン「大阪ワイン」ブランドの認知度を高めるため、12年に大阪ワイナリー協会(大阪市)が発足。現在、羽曳野、柏原、大阪市の7社が加盟している。同協会は14年から「おおさかワインフェス」を開催している。

60885 0 明日をつむぐ 2019/01/03 05:00:00 2019/01/03 05:00:00 「駒ヶ谷の名品として、次世代にワインを残していきたい」金銅社長(右)と真代専務(羽曳野市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190102-OYTAI50086-T.jpg?type=thumbnail

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