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ひたむき 入水技術磨く

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世界選手権で東京五輪代表内定を確実にし、馬淵崇英コーチ(左)と喜び合う祭里さん(2019年7月、韓国・光州の南部大市立水泳センターで)=原田拓未撮影
世界選手権で東京五輪代表内定を確実にし、馬淵崇英コーチ(左)と喜び合う祭里さん(2019年7月、韓国・光州の南部大市立水泳センターで)=原田拓未撮影
入水時にしぶきがほとんどあがらない「ノースプラッシュ」を最大の武器に切れのある演技を披露する祭里さん(2019年7月の世界選手権で)=原田拓未撮影
入水時にしぶきがほとんどあがらない「ノースプラッシュ」を最大の武器に切れのある演技を披露する祭里さん(2019年7月の世界選手権で)=原田拓未撮影

飛び込み東京五輪代表を育てた (あら)()   (けい)() さん 51<下>

 世界屈指の入水技術を武器に、女子高飛び込みで東京五輪の切符をつかんだ武庫川女子大2年、荒井祭里まつりさん(20)(JSS宝塚)。進学した私立甲子園学院高では、高校総体3連覇を成し遂げ、プールサイドで声援を送ってきた母・恵子さん(51)も、ひたむきに競技と向き合う娘の“変化”を感じていた。

 「精神的な弱さを乗り越えるには、確かな技術を身につけるしかない、と娘なりに得心したんでしょうね」

 10メートルの台から水面へ到達するまでは、わずか2秒ほど。踏みきり、空中、入水、どのタイミングが微妙にずれても、ケガにつながる危険性が潜む。練習を一日も欠かさないのは、その感覚を鈍らせないためでもある。

 「たまたま通ったスイミングスクールで飛び込みと出会い、超一流のコーチや選手とともに練習させてもらえたことが娘の運命を変えた。つくづく運のいい子だと思います」

 6度目の五輪出場となる寺内健選手やリオデジャネイロ五輪8位の板橋美波選手ら、日本を代表するアスリートがしのぎを削る「JSS宝塚スイミングスクール」。先輩たちの背中を追い、ひたすら技に磨きをかけてきた真摯しんしな姿勢が、しぶきを最小限に抑えた世界トップクラスの入水技術「ノースプラッシュ」を可能にした。

 高校入学前から祭里さんを直接指導する馬淵崇英コーチ(57)も、板の上で泣きながら尻込みしていた女の子からの変貌へんぼうぶりに驚かされた一人。「長年コーチをしてきた経験を覆されるくらいに急成長した選手。厳しい練習が終わってからも居残ってトレーニングを続け、コーチが見かねてやめさせるほど。積み重ねてきた努力が、安定した演技につながっている」と話す。

 日本選手権では、2017年から4連覇と記録を更新し続け、19年夏の世界選手権で、いち早く東京五輪代表内定を勝ち取った。常にベストな体調で大会に臨めるよう、恵子さんは食生活にも気を配ってきた。

 「筋力と美しさを同時に求められる競技だけに、たんぱく質や野菜などをバランスよく摂取できる工夫をしてきました」

 中学時代から作るお弁当は、鶏のささみが中心。飽きがこないよう味付けを考え、カロリーオフの砂糖を使うなど調味料にも気を使う。おにぎりは玄米で握り、合宿や大会など遠征時には、「ケガに気をつけて」「あんまり気負わずに」と手書きのメッセージも添える。

 技の精度にも影響するため、1メートル50、42キロの体形を維持することは最重要課題。カロリーの取り過ぎにはことのほか注意し、午後9時以降は絶対に食べ物を口にしない。

 「誕生日のケーキも祭里が家族分を切り分けてくれて、本人だけは翌朝に食べるんです。少し食べ過ぎたと思ったら、家の周囲を走りに行きますし、どうしてもアイスクリームが欲しくなったら、ヨーグルトを冷凍して代わりにしていますね」

 武庫川女子大健康・スポーツ学部に入学したのは19年春。学内のジムで1時間の早朝トレーニングをこなしてから授業に臨み、夕方からは約5時間、JSS宝塚で練習を続ける日々。花の女子大生活からはほど遠い日常をずっと送ってきた。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、マレーシア合宿を早めに切り上げて緊急帰国した昨年3月以降、海外での集中的な練習はできないまま。冬場は、週に1度、10メートルの飛び込み台がある三重県のプールまで通っていたが、緊急事態宣言下では、それもかなわなくなった。そんな環境でも、動じることなく前を見つめ続けられたのは、培ってきた力を信じられるから。

 「お祭りのように周囲に人が集まる存在に」との願いを込めた名前の通り、日の丸を背負って注目を集める選手にまで成長した祭里さん。得意技の「後ろ宙返り2回半1回半ひねりえび型」を決め、メダルを目指す日は刻一刻と近づいている。

 「誰もが体験できるわけではない特別な空間に身を置ける感謝と喜びをかみしめ、ケガなく無事に飛び切ってもらえたら。やってきたこと全てを出し切れたと思えるオリンピックになることを祈っています」(渋谷聖都子が担当しました)

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使い方
1893043 0 母なればこそ子と歩む 2021/03/08 05:00:00 2021/03/08 05:00:00 2021/03/08 05:00:00 世界選手権で東京五輪代表内定を確実にし、馬淵崇英コーチ(左)と喜び合う祭里さん(2019年7月、韓国・光州の南部大市立水泳センターで)=原田拓未撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210307-OYTAI50007-T.jpg?type=thumbnail

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