読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

競技者の芽 プロ指導で

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

「息子の存在を入り口に、多くの人にブレイキンの魅力を知ってもらえたらうれしい」と語る路美さん=長沖真未撮影
「息子の存在を入り口に、多くの人にブレイキンの魅力を知ってもらえたらうれしい」と語る路美さん=長沖真未撮影
BC Oneの大舞台で、実力を存分に発揮する重幸さん(昨年11月29日撮影、(c)Dean Treml/Red Bull Content Pool)
BC Oneの大舞台で、実力を存分に発揮する重幸さん(昨年11月29日撮影、(c)Dean Treml/Red Bull Content Pool)
本格的に習い始める前の7歳頃、見よう見まねで三点倒立に挑む重幸さん=路美さん提供
本格的に習い始める前の7歳頃、見よう見まねで三点倒立に挑む重幸さん=路美さん提供

ブレイキン世界王者を育てた 半井(なからい)   路美(るみ) さん 47<上>

「意欲あるなら全力でサポート」

 「ブレイクダンス(ブレイキン)」の世界チャンピオン半井重幸さん(19)は昨年、史上最年少で世界大会を制し、3年後のパリ五輪金メダルを次の目標に見据える。母・路美るみさん(47)に、軌跡を振り返ってもらった。

 昨年11月29日の早朝、路美さんは大阪狭山市にある自宅でスマートフォンを握りしめ、オーストリアからインターネット中継されるソロバトルの最高峰「Red Bull BC One World Final(BC One)」を見守った。

 「緊張で一睡もできなくて。体を起こして観戦すると、いてもたってもいられず落ち着かないので、布団の中にもぐり込んで画面を見つめました」

 母の胸中を知ってか知らずか、この日、重幸さんはステージ上で躍動した。

 DJの選曲に合わせて2人が交互に即興で踊る対戦形式で、世界のトップ8人によるトーナメント戦。時折笑顔を浮かべるほどリラックスし、重力にあらがって体を弾ませ、しならせ、回転して、全身で音楽を奏でた。

 ブレイキンに出会った小学2年から10年余りで、国際大会優勝は、これが実に46度目。だが、「出場するだけで栄誉」とされる大会の頂点は格別だ。チャンピオンベルトを突き上げ、喜びを爆発させる姿をスマホ越しに見つめ、競技を始めた頃の面影を重ねていた。

 先にブレイキンの世界に飛び込んだのは、4歳上の姉・彩弥あやねさん(23)。今も第一線で活躍する女子のトップ選手だ。

 「どんなことも本人に意欲があるなら、全力でサポートする」

 路美さんが貫いてきた子育ての「マイルール」だ。

 トランポリン、ストリートダンスの「ロッキング」。好奇心旺盛な彩弥さんはいくつも習い事に通った。付き添う路美さんに伴われた重幸さんも、教室の片隅で見学するうち、興味を持ち習い始める。そんな流れが、半井家の定型だった。

 ある時、彩弥さんがブレイキンチームの一員として、イベントに出場することになった。トランポリン教室の一角にトレーニングで訪れていたチームリーダーの男性と意気投合し、招き入れられたのだった。

 “ダンサーの聖地”とされる大阪・ミナミの地下広場での練習に取り組む彩弥さんの傍らで、7歳だった重幸さんも、見よう見まねで三点倒立や、頭を軸に回転する「ヘッドスピン」に挑戦。幼稚園から習っているトランポリンを通して、バランス感覚が養われていたためか、ものの数日で会得し、得意げにポーズを決めてみせた。

 ほどなく、ブレイキンの魅力にはまった彩弥さんが、本格的にプロのレッスンを受け始めた。

 「重幸も、途中で投げ出さずに学び続ける気はあるのか、見てみよう」

 そう考え、彩弥さんが師事する日本ブレイキン界の先駆者、カズヒロさん(45)の体験教室に、重幸さんも参加させてみた。カズヒロさんの指導内容は、経験を重ねたダンサーでも青息吐息の難しさだが、子どもにも同じ課題が与えられた。

 当然、歯が立つはずもない。悔しさから声を上げて大泣きし、あげくには、泣き疲れて部屋の隅で眠り込んでしまった。

 「ああ、無理や無理や。この子にはまだ、レッスンは受けさせられへん」

 そう思った直後、目を覚ました重幸さんが取った行動に虚をつかれた。

 カズヒロさんに歩み寄り、はっきりと言ったのだ。「本気でうまくなりたいので、教えてください」

 見たことのない、真剣なまなざし。マイペースな性格の重幸さんに、アスリートのスイッチが入った瞬間だった。

 それは、路美さんの眠れぬ日々の始まりでもあった。

 【ブレイクダンス(ブレイキン)】1970年代に米ニューヨークの貧困地帯で、ギャングたちが、暴力の代わりにダンスで対決したことが始まりとされる。背中や頭などを軸に回転する大技「パワームーブ」など4要素で構成され、技の難易度や構成の巧みさ、音楽との一体性など様々な観点から審査員の判定で勝敗が決まる。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2025351 0 母なればこそ子と歩む 2021/05/02 05:00:00 2021/05/02 05:00:00 2021/05/02 05:00:00 インタビューに答える半井路美さん(31日、大阪市北区で)=長沖真未撮影2020年12月31日撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210501-OYTAI50014-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)