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ずらりと並んだ帯や櫛(くし)などを整理する母・ほたるさん(大阪市北区の「梅田呉服座」で)=枡田直也撮影
ずらりと並んだ帯や櫛(くし)などを整理する母・ほたるさん(大阪市北区の「梅田呉服座」で)=枡田直也撮影
キレのある舞踊で観客を魅了する海老之助さん
キレのある舞踊で観客を魅了する海老之助さん
抱き上げられて出演した恋之助さん(左端)らきょうだいみんなとポーズを決める海老之助さん(中央)(右から3人目が七星さん、5人目が天花さん、2012年9月撮影=ほたるさん提供)
抱き上げられて出演した恋之助さん(左端)らきょうだいみんなとポーズを決める海老之助さん(中央)(右から3人目が七星さん、5人目が天花さん、2012年9月撮影=ほたるさん提供)

大衆演劇の「華」を育てた (ひめ)()  ほたるさん 41<上>

「できること一つ一つ増やしていく」

 個性に磨きをかけて羽ばたく我が子を見守るお母さんの奮闘記。今回は、舞台に生きる大衆演劇の「華」姫 海老之助えびのすけ さん(19)の母・姫乃ほたるさん(41)です。

 レーザービームに照らされ、リズムに乗って踊るいなせな若衆。手拍子に合わせてアップテンポなダンスを見せたかと思えば、一転、 妖艷ようえん花魁おいらん 姿でしっとりと観客を魅了する。

 大阪市北区の劇場「梅田呉服座」で今月1日に開幕した劇団「花車」の公演。

 「海老ちゃーん」。観客席からの声援に視線を送る長男・海老之助さんの姿を舞台袖で確認しつつ、ほたるさんは音楽テープをタイミングよく操作し、自身の出番に間に合うように手早くカツラを着けた。

 「今は座員が10人しかいないので、出番の合間に幕を開け閉めしたり、帯を締めながらアナウンスをしたりと、それこそ目が回るような忙しさなんです」

 ほたるさんが海老之助さんと息の合った舞踊を披露すると、ひときわ大きな拍手が湧き、次女の姫 天花てんか さん(16)が晴れやかなダンスで盛り上げる。

 座長で夫の姫 錦之助きんのすけ さん(40)が女形でステージに登場すると、場内の熱気はさらにヒートアップ。ペンライトが揺れ、花道に駆け寄った女性客らが着物の 衿元えりもと に次々とご祝儀の1万円札をはさんでいく。照明を効果的に切り替え、スポットライトで主役を追うのは、長女の 姫百合ひめゆり七星ななせ さん(20)、楽屋で小道具や衣装の用意を手伝うのは、次男の姫 恋之助こいのすけ さん(11)だ。

 劇団「花車」は、1983年に義父の姫 京之助きょうのすけ さん(62)が北九州市で旗揚げ。錦之助さんら京之助さんの3人の息子たちが屋台骨を支えている。昼の部、夜の部の1日2回公演が基本で、それぞれ時代劇芝居と舞踊ショーの2本立て。

 「ご当地ネタを盛り込んだり、アドリブを交えたりと、笑いあり涙ありの多彩な出し物でプログラムを構成。1か月間、日替わりで違う演目をかけるので、毎日のように通ってくださるご 贔屓ひいき さんもおられます」

 舞台人でありながら、同時に4人の子どもたちの母親でもあるほたるさんにとって、1日は分刻みで過ぎていく。出演と稽古の間に、洗濯や買い物、料理をこなし、学校のスケジュール管理なども一手に担う。

 「座ることができるのは、舞台メイクのために鏡の前にいる時ぐらいですかね」

 海老之助さんが初舞台を踏んだのは4歳の時。村の子ども役で出演し、愛くるしい踊りを披露して喝采を浴びた。子役が舞台に上がるとステージが華やぐ反面、舞台裏では“戦争”が繰り広げられることになる。

 早めに衣装を着せると「帯がきつい」と泣き出したり、緊張しておもらししてしまったり。出番を終えた後も、騒がしくして舞台に影響が出ないよう目を配らなければならない。

 「夜の部は眠くなってしまうので、休憩中に寝かしつけてタイミング良く起こすのが至難の業。自分の出番もあるので、開演中にぐずらないよう携帯電話の動画を見せてしのいでいたこともありました」

 毎晩の稽古で、立ち回りや踊りの所作などを見よう見まねで覚えていくが、何度やってもうまくできずに涙を浮かべることも。夫から厳しい指導を受けるきょうだいの様子を気遣いながら、「次はうまくやれるよ」と励ますのも母親の役目だ。

 「それぞれの子どもの性格と向き合いながら、焦らずにできることを一つ一つ増やしていくよう心がけてきましたね」

 1か月間の公演を終えると、次の劇場へ移動していくのが一座の習わし。家族みんなで家財道具ごと転居し、楽屋で寝泊まりするため、子どもたちは学校を転々とせざるを得ない。

 新しい公演場所へ引っ越すたび、役所に子どもたちの転校手続きをしに行くのもほたるさんの仕事。受け入れ先の学校長を訪ねてあいさつに行き、必要な用具や教科書をそろえて通学させる。

 「せっかく友達ができても、すぐにお別れというのがかわいそうなんですけれど。小学校に入学した海老之助は、持ち前の人懐っこさを発揮して、ひと月ごとの転校にもうまく対応しながら通っているようでした」

 そんなある日、肝を冷やす“事件”が起きた。

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使い方
2191429 0 母なればこそ子と歩む 2021/07/09 05:00:00 2021/07/09 05:00:00 2021/07/09 05:00:00 ずらりと並んだ帯や櫛などを整理するほたるさん。「家族みんなが力を持ち寄って舞台を作り上げていくのが大衆演劇の魅力」とほほ笑む(大阪市北区の「梅田呉服座」で)=枡田直也撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210708-OYTAI50019-T.jpg?type=thumbnail

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