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「4きょうだい共演」夢見て

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楽屋で錦之助さん(中央)の着付けを手伝う母・ほたるさん(左から2人目)を見守る4人の子どもたち(右から天花さん、海老之助さん、恋之助さん、左端が七星さん)(大阪市北区で)=枡田直也撮影
楽屋で錦之助さん(中央)の着付けを手伝う母・ほたるさん(左から2人目)を見守る4人の子どもたち(右から天花さん、海老之助さん、恋之助さん、左端が七星さん)(大阪市北区で)=枡田直也撮影
ピタリと息の合った舞踊を披露するほたるさん(右)と海老之助さん=枡田直也撮影
ピタリと息の合った舞踊を披露するほたるさん(右)と海老之助さん=枡田直也撮影

大衆演劇の「華」を育てた 姫乃(ひめの)  ほたるさん 41<下>

 大衆演劇界で人気を博す劇団「花車」の次代を担う姫 海老之助えびのすけ さん(19)。6月末、母で一座の役者でもある姫乃ほたるさん(41)は、息子たちと一緒に毎月恒例の徹夜作業に汗を流していた。

 午後8時、大阪・キタの「梅田呉服座」前の道路に横付けされたのは10トントラック。衣装ケース約300個、カツラ500面をはじめ、和太鼓、刀、和傘などの舞台道具や、電化製品、寝具などの生活用品が次々と荷台から降ろされ、楽屋に運び込まれていく。

 ほたるさんら一家6人は、前日に岡山県倉敷市での公演を終え、座長で夫の姫 錦之助きんのすけ さん(40)が運転するワゴン車で移動してきたばかり。さらに10トントラックもう1台と4トントラック1台で運搬されてきた劇団の大切な財産を10人の座員総出で仕分けし、目前に迫った7月公演に向けて準備を整えていく。

 「引っ越しが完了したのは翌日の午前6時。出発までに衣装や道具を箱詰めしていく作業も合わせると、毎月、相当な重労働に追われることになるんです」

 金糸、銀糸をあしらった着物や豪華な帯などを収めた衣装箱は1箱で数十キロもの重さになることも。5年前、中学生だった長男の海老之助さんが筋力トレーニングを始めたのも、「荷造りに苦労する母の力になりたい」との思いから。14歳の時から、腕立て、腹筋、スクワット、ダンベルなどのメニューを続け、ストイックに体を鍛えてきた。

 「重い荷物を上げ下げしてくれるだけでなく、いつも周りを気遣う優しさが彼の取り柄。最近は、舞踊に現代的なアレンジを加えるなど、積極性が出てきたように感じます」

 中学卒業までは個性的な役者として舞台に立っていた長女の姫 百合ゆり七星ななせ さん(20)は、自ら裏方を希望。照明担当として一座を支え、次女の姫 天花てんか さん(16)は、芝居も舞踊も存在感のある演技を見せるようになってきた。

 「抱き子」として0歳から舞台に上がっていた末っ子の姫 恋之助こいのすけ さん(11)は、ずっと子役として活躍。いつも喜び勇んで出演していたのに、6歳になったある日を境に「出たくない」と舞台から遠ざかった。5年生になった今も舞台に立とうとはしないが、毎晩、深夜まで続く一座の稽古には熱心に参加。レパートリーが100本近くに上る芝居のセリフはほとんど頭に入っているという。

 「ことあるごとに誘ってはいますが、本人が本当に『出たい』と思うようになるまでは、無理強いは禁物。機が熟すのをじっくりと待ってこそ、大きな実りがあると信じてますから」

 舞踊ショーの途中、ファンから「お花」(ご祝儀)を 衿元えりもと につけてもらったり、客席の間を練り歩いたりと、舞台と観客との距離が近いことが売りでもある大衆演劇にとって、新型コロナウイルスの感染拡大は、ただならぬ影響を及ぼした。

 大阪市浪速区の劇場で公演中だった4月には、感染者数が日に日に増加し、座員は感染防止のため外出禁止に。

 「コンビニはおろか劇場から一歩も出られない生活が続き、調味料や洗剤まで出前で頼むような日々。座員が公演後、出口でお客様を見送る『送り出し』ができなくなったのも、初めての経験でした」

 緊急事態宣言が発令されると、公演は打ち切りとなったが、公的補償は一切なく、ここ2か月は、開演できても月に数日だけという状況が続く。

 「制限が緩和され、恐る恐る幕を開けると、客席でペンライトを振ってくださる姿が目に入って。こんな中でも足を運んでくださるお客様にどれだけ勇気づけられてきたことか」

 ステージに立てる感謝を胸に、今日も、座員一人一人が趣向を凝らした演出で観客をもてなしていく。哀愁を帯びた娘や、躍動感あふれる侍姿でスポットライトを浴びる海老之助さんが、一座の主役となる日もそう遠くはない。

 「役に応じて七色に染まることのできる海老之助が、この先、どんな輝きを放っていってくれるか。子どもたちの心に寄り添いながら、そっと後押ししていければと思っています。いつの日か、きょうだい4人がそろって舞台に立ってくれる日を夢見て」

(渋谷聖都子が担当しました)

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2196818 0 母なればこそ子と歩む 2021/07/11 05:00:00 2021/07/11 05:00:00 2021/07/11 05:00:00 楽屋で錦之助さん(中央)の着付けを手伝うほたるさん(左から2人目)を見守る4人の子どもたち(右から天花さん、海老之助さん、恋之助さん、左端が七星さん)(大阪市北区で)=枡田直也撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210710-OYTAI50007-T.jpg?type=thumbnail

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