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天下の台所 蔵に面影

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食の歴史を守る

 江戸時代、全国から食材などの物資が集積し、「天下の台所」と呼ばれた大阪。今も串カツやたこ焼きなどの大阪名物が多くの人を魅了し、「くいだおれの街」として観光客らをひきつける。脈々と続く食の歴史を守り、魅力を発信しようとする人たちを追う。

 大阪城を背に大阪市北区の天神橋から大川沿いを歩くと、白壁の映える蔵が見えてくる。かつて「天下の台所」を支えた大坂三大市場のひとつの「天満青物市場」の面影を残す場所だ。

 「もともとは川から荷を降ろし、直接、蔵の中に運んでいたようです」。江戸時代の創業でゴマやノリなどを扱う老舗乾物問屋「北村商店」の押田敦史社長(52)が指さす先には、地面に敷かれた分厚い鉄板があり、それを持ち上げると、かつての荷降ろし場へと通じる階段が現れた。今も現役の蔵として、商品が保管されており、押田社長は「分厚い土壁は夏は冷たく、冬は外気を遮断してくれ乾物食品にとって最適な蔵」と胸を張る。

天満 乾物問屋立ち並び

 江戸時代に水運の要所として栄えた大坂には全国から物資が集まり、「天満青物市場」、「堂島米市場」、「雑喉場ざこば魚市場」の大坂三大市場が誕生した。江戸時代の「摂津名所図会ずえ」(1796~98年)には、天満青物市場周辺の当時のにぎわいの一端が「天満市之側」として登場。川沿いに蔵が立ち、船から降ろされた荷や人がひしめき合っている。

 北村商店もある天神橋北詰から西側の菅原町一帯には、乾物問屋が立ち並び、かんぴょうや凍り豆腐などが軒先に並べられ、全国から仲買人がひっきりなしに訪れた。最盛期の大正時代は200軒を超える店舗があり、大問屋は運送、保険、金融、倉庫業も兼ね、そのための蔵や、番頭や奉公人らの住宅が造られた。今も菅原町には、江戸から昭和初期に建てられた蔵や住宅が点在する。

屋根、壁改修 大阪市が補助

 大阪市は2008~17年度、菅原町を含む天満地区で、歴史的特徴を生かしながら大屋根や外壁、ひさしの改修などを行う場合、工事費の一部を補助する事業を実施。19件の建物が対象となり、北村商店も17年、一部の蔵のしっくいの外壁を塗り替えたり、屋根瓦を改修したりする工事をした。押田社長は「今も本業で使っている蔵を維持し、蔵を通じて多くの人に歴史や乾物の魅力を伝えることで、誘客などまちおこしにつながってほしい」と語る。

 菅原町には、建築物や歴史に興味を持つ学生や市民らの姿もある。そういった人たちを対象に、蔵めぐりのまち歩きイベントや、乾物料理の教室なども開かれている。企画する地元の菅南連合振興町会会長の後藤孝一さん(75)は「江戸時代、乾物商の間では、この地に店を構えることが全国的に一流と認められた証しだった。街並みも生活も変化のスピードは増しているが、歴史を語り継いでいきたい」と意気込む。(北口節子)

 ニュースをわかりやすく伝える「New門」。今回は「食の歴史を守る」をテーマに掲載します。

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2118473 0 New門@大阪 2021/06/12 05:00:00 2021/06/12 05:00:00 2021/06/12 05:00:00

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