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AYA世代をサポートする医師 多田雄真さん 34

 「AYAアヤ世代」と呼ばれる15~39歳の若いがん患者は、進学や就職、結婚といった人生の転機を迎える時期と重なり、特有の不安や悩みを抱えています。支援制度も未整備で経済的な負担が重くのしかかるケースも多く、大阪国際がんセンター(大阪市)でAYA世代サポートチームを率いる多田雄真医師(34)は「個々の患者に寄り添った多角的な支援が必要」と訴えています。

 国内でがんと診断される人は年間約100万人。うちAYA世代の患者は約2万人です。専門の拠点病院がなく、少ない患者が全国の病院に分散するため、治療やサポートの経験が蓄積されておらず、各病院で十分に対応しきれていないのが実情です。

 収入が少なく社会的立場の不安定な患者が多いのも特徴です。高額療養費制度は使えますが、両親の支援がない場合は経済的に困窮する人が多く、一家の大黒柱が罹患りかんした家庭が生活保護を受給することになったケースもありました。

 18歳未満の患者は小児慢性特定疾病の医療費助成を受けられ、40歳以上で末期がんの患者は介護保険が適用されますが、AYA世代の大半を占める18~39歳にはこうした国の支援制度がありません。

 こうした状況を多くの人に知ってもらい支援につながればと、2018年、全国の医療従事者や患者、支援者らによる一般社団法人「AYAがんの医療と支援のあり方研究会」(名古屋市)が発足。私もメンバーに加わりました。若いがん患者が抱える課題について、一般の人や医療従事者向けに広く情報発信を始めました。

 行政の対策も少しずつではありますが、進みつつあります。国は18年に「第3期がん対策推進基本計画」を策定。AYA世代のがん対策の必要性を初めて明記し、今年4月からは治療前に妊娠する機能を残す「妊孕にんよう性温存」の治療費を助成する制度も始まりました。ただし、助成を受けられるのはがん・生殖医療ネットワークの認定施設で受診した患者に限られており、認定施設がない地域との治療の格差が生じています。

 自治体レベルでは、大阪府が入院する小中高生らが遠隔授業を受け、卒業できるようパソコンなどの機器の購入費を助成する制度を整備。福岡県なども、訪問介護や福祉用具の購入費への助成を始めました。具体的な支援については、まだ緒に就いたばかりです。

 今年3月、研究会が事務局となり、初めて啓発イベント「AYA week 2021」を開催しました。若い世代とがんに関する現状を世の中に発信することを目標に、1週間かけて全国で約80のイベントを開きました。私自身も、患者同士が経験や思いを語り合う「ピアサポート」のプログラムや、患者と医療従事者の交流イベントに参加しました。

 大阪国際がんセンターでは19年度、医師や薬剤師、理学療法士ら幅広い職種の約30人による専門のサポートチームを設けました。

 がんは家族や友人、パートナー、職場の同僚らとの関係性にも重くのしかかり、患者の精神面のケアが不可欠です。医療の進歩で完治するケースも増えていますが、治療が困難な患者もいるのが現実。残された時間をどう過ごすか、終末期ケアも非常に大切です。

 こうした患者への対応とともに、より多くの人にAYA世代のがん患者の生きづらさ、生きにくさへの理解を広め、支援の輪を広げていきたいです。(福永正樹)

 ◆兵庫県西宮市出身。2011年、大阪大医学部医学科卒。国立病院機構大阪医療センターで初期研修。現在、大阪国際がんセンター血液内科診療主任を務める一方、AYA世代のサポートチームを率い、15~39歳の若いがん患者を対象にした治療・ケアにも取り組む。

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2103966 0 大阪ひと語り 2021/06/06 05:00:00 2021/06/06 05:00:00 2021/06/06 05:00:00 大阪国際がんセンター・AYA世代サポートチームの多田雄真さん(34)(大阪市で)=福永正樹撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210605-OYTAI50003-T.jpg?type=thumbnail

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