読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

区の成り立ち 綿密検証

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

「古地図でたどる大阪24区の履歴書」出版 本渡章さん 68

 古地図や名所図会を題材に、大阪の歴史や文化を紹介する活動を続ける作家の 本渡ほんど 章さん(68)は、5月に新著「古地図でたどる大阪24区の履歴書」(140B刊)を出版しました。企画が持ち上がったのは2019年頃で、ちょうど大阪市を分割・再編する大阪都構想が議論されていました。「町の成り立ちをきっちり検証しようと思った」と執筆の動機を語ります。

 江戸時代から明治、大正、昭和と年代別の地図を見ていくと、人口と産業構造の変化を反映して町並みが変遷することが分かります。著書では地図と共に、名所図会や錦絵、写真資料などから、時代の変遷が分かるように工夫しています。

 「大坂」は江戸時代に三郷と呼ばれた「南組」「北組」「天満組」の区割りに始まります。堂島など商人や蔵屋敷が集まり、「天下の台所」と呼ばれた地域です。現在の「区」のような行政単位がそのころからあったのです。

 明治維新によって、開港地となった大阪湾岸部に中心が移り、淀川北岸、大阪城の東側、住吉区などの南部へ市域が拡大します。

 平成になった1989年に、南、東両区が合併して中央区に、北、大淀両区が一つになって北区になり現在の24区に落ち着きます。少子高齢化が進み、人口減少へ向かう中、行政の区割りがずっとこのままでいいとは思いませんが、再編するなら、これまでの人の暮らしを十分考慮しないと住みにくい町になると思います。

 現在の活動は、約20年前に勤めていた出版社で古地図や江戸時代の観光案内書「摂津名所図会」を特集しようとした時に、専門の研究者がいないことに気付き、「それなら自分で」と取り組んだのがきっかけで始まりました。

 摂津名所図会に描かれた大阪の様子を読み解き、当時の生活や風俗などが克明に図会に描かれていることを紹介した「大阪名所むかし案内」(創元社)を2006年に刊行しました。

 著書では堂島米市場で相場師たちが指先のサインで取引価格をやりとりする場面や、年貢米が運び込まれる蔵屋敷で働く女性たちがこぼれたもみ米を掃き集める様子などを解説。天神祭の船渡御でご神体が乗る「 神輿みこし 船」が通るのを見下ろさないよう通行止めになった橋も紹介しました。

 今も残る名所図会の挿絵を見比べて驚いたのは、印刷物なのに博物館や図書館に保存される資料によって細部に違いがあることです。改版されたのか、はじめからいくつも版木があったのか。これまでは、資料を所蔵する施設ごとに研究されてきたので、その違いは注目されていませんでした。これから解き明かしたい謎です。

 隔月に大阪市中央区の大阪ガスビル1階のカフェで、古地図愛好家と情報交換をする「古地図サロン」を開いています。遠方から秘蔵の古地図を持ってきてくださる方もいて、毎回新しい発見があります。(彦坂真一郎)

 ◆大阪市出身。作家。月刊「大阪人」編集者などを経て、1996年に第3回パスカル短篇(たんぺん)文学新人賞優秀賞を受賞。摂津名所図会をテーマにした著作は、2006年の「大阪名所むかし案内」が最初。古地図をテーマにした作品は10年の「大阪古地図むかし案内」から始まる。講演活動や町歩きツアー、自身のコレクションを使った「古地図サロン」などの交流イベントも開いている。

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2140551 0 大阪ひと語り 2021/06/21 05:00:00 2021/06/21 05:00:00 2021/06/21 05:00:00 古地図や名所図会を手がかりに大阪の歴史を探訪する本渡章さん(大阪市中央区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210620-OYTAI50013-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)