幼い笑顔 世界4万人分

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富田林市の写真家 北川孝次さん 77

 富田林市の写真家北川孝次さん(77)は、世界の50か国余りを巡り、子どもたちの笑顔をカメラに収めてきました。これまでに4万人以上の笑顔を撮影しました。コロナ禍で活動は制約されますが、「多くの人に見てもらいたい」と、写真展を開いたり、地元の小学校で現地の様子を紹介したりしています。

 50年以上前、勤めていた内装の請負会社でインテリア広告の写真に興味を持ちました。1960年代は国内でプロのカメラマンがまだ少なかった時代。「写真なら自分の個性を出せるのでは」と考えました。ある日、大阪市内で写真スタジオのアシスタント募集があるのを知り、飛び込みました。20歳で写真家としての人生が始まりました。

 仕事は、家電などの広告用の商品撮影の手伝い。プロの撮影方法を間近で見て少しずつ覚え、専門書もたくさん読んで技術を身につけました。その後、広告関連の撮影をする会社に転職し、海外にも行くようになりました。プライベートでも毎年2か月ほど海外で風景を撮影していました。

 40歳で独立。市内に事務所を構え、フリーの写真家として海外の観光名所などで風景を撮影しました。

 転機が訪れたのは、45歳の時です。訪れたタヒチの空港で、笑い声を上げてはしゃぐ子どもたちと、その姿を見守る親や祖父母に出会いました。その光景に癒やされ、シャッターを切りながら、「人を幸せにさせる子どもたちの笑顔を残したい」と思うようになりました。「風景なら条件がそろえば誰が撮っても同じだが、この笑顔はこの瞬間しか撮れない」。以来、「子どもの笑顔」を撮る旅が始まりました。

 あれから30年余りが過ぎました。最初はミャンマーやブータンなどアジアに、次はキューバなど中米へ向かいました。欧州各国を巡った後、様々な部族の子どもらを撮りたくて、ケニアなどアフリカにも足を運びました。来年のカレンダーにはウイグルの幼稚園児の写真を表紙に使います。

 子どもの自然な笑顔を撮るには、コミュニケーションが不可欠です。カメラを向けながら追いかけても、いい笑顔は撮れません。現地で学校などを紹介してもらい、子どもたちにストローを使った竹とんぼなど手作りのおもちゃを披露し、作り方を教えて一緒に遊びました。楽しみながら信頼関係を築くことが大切です。

 3年前、大阪市内から自然豊かな富田林市に移住し、同市 うれし 地区にスタジオ「キタガワ フォト オフィス」を開きました。人工透析で週3回病院に通うようになってしまい、コロナ禍もあって撮影旅行はしばらくお休みしています。「いずれは撮影旅行を再開したい」と思いながら、今は撮りためた写真を全部見直して整理しています。

 6月から市立川西小で、各国の風景や現地の子どもの笑顔を集めた作品を一部常設展示しています。同小のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みで、「世界の国々とその実情を子どもらに伝えたい」という趣旨に賛同しました。

 写真はほかにもたくさんあります。これからも様々な展示会を開きたい。写真を見た多くの人が穏やかな気持ちになり、癒やしになればと願っています。(聞き手・吉田誠一)

 ◆1944年6月、終戦の混乱期に旧満州(現中国東北部)に生まれ、2歳の時、母に連れられて日本へ。八尾市で育ち、高校卒業後、会社勤めを経て大阪市内の写真スタジオでアシスタントに。独立後は、海外の風景、動物、子どもの笑顔などを撮影してきた。

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