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「コミュニティーFMは、地域に密着しているからこそ、災害時に威力が発揮されると思う」。番組作りをする石元さん(枚方市で)
「コミュニティーFMは、地域に密着しているからこそ、災害時に威力が発揮されると思う」。番組作りをする石元さん(枚方市で)

「エフエムひらかた」プロデューサー 石元 彩さん 46

 東日本大震災の発生直後、スタジオに速報を流すよう連絡し、翌日から全生番組を特番に変えました。6月からは毎月、リスナーらの応援メッセージを代読し、東北3県のコミュニティーFM局などにそのCDを届けました。

 阪神大震災の被災者らからは「必ず東北も復活する。それまでずっと一緒にいます」とメッセージが寄せられました。母親の視点から「子どもをぎゅっと抱きしめてあげて」とアドバイスをくれた人も。顔も知らない誰かを思える優しさに、私自身が感動し、勇気づけられた。この企画は7年間続け、届けた声は約2000人分になりました。

 《2013年には「週刊東北だより」を開始。被災地と電話でつなぎ、支援団体や避難者、漁業関係者ら様々な人が出演してきた》

 被災者につらい思いを語ってもらうことに悩みましたが、皆さん「全国からの支援にお礼がしたいけど、津波で何もなくなった。体験を話すことくらいしかできないから」と言ってくれたんですよ。

 年を重ね、街の復興とともに人の心も変化していくのを感じました。原発事故の避難者が、七夕に寄せた願い事が印象に残っています。1年目は「家に帰りたい」などと書かれていたのが、2年目は「みんなと幸せに、笑顔で、仲良く暮らせるように」、3年目は「フラダンスがうまくなりたい」になったそうです。生活が少し落ち着き、願い事に自分らしさを込められるようになったのでしょう。

 けれどどれだけ時間がたっても、癒やされない傷もある。記憶が風化していくことへの悔しさを、のみ込んでいる人もいる。まだ聴かせてもらっていない心の叫び、抱えきれない苦しみがたくさんあると感じます。

 《原点は阪神大震災。当時は兵庫県西宮市の短大2年生で、枚方市の自宅にいて直接の被災を免れた》

 ボランティアに行こうとしたけど、家族に「何ができるの」と言われ、あっさりあきらめてしまった。だけど、東日本大震災で津波にのまれる街の映像に、火の海となった神戸が重なり、大きなショックを受けました。あの時の悔いを引きずって生きてきたことに気づいたんです。「1・17」に何もできなかったからこそ、被災者に寄り添いたかったのだと思います。

 《身近なコミュニティーFMは、災害時に大きな役割を果たしてきた。今月13日には、大切な人を亡くした心の痛みに焦点を当てた特番を企画する》

 番組では震災をはじめ、事故や病気で家族や友人らを失った人からメッセージを募集し、放送します。震災で犠牲になった人に語りかけられるよう、岩手県大槌町に実際に設置されている「風の電話」がモチーフです。

 「言葉による心の支援」。そううたい、東北に関わってきました。でも現地の方が「うれしい」と言ってくれるのは優しさで、本当に支援になっているのか、自問自答したこともあります。

 けれど2018年の大阪北部地震で、交流のあるラジオ局や被災者から、「大丈夫ですか」「大変さは一番知っている。何でも言ってください」と一斉にメールが来た。本当に涙が出るほどうれしくて。ようやく、「言葉の力」を確信することができたんです。

 誰かとつながる大切さは、コロナ禍の1年でも感じました。苦境にいても、ひとりじゃないと思えれば、未来に向かって歩ける。地域の人の心に寄り添うのが、私たちの役割。これからも心の声を丁寧に拾い、つなげていくメディアでありたいと思っています。(聞き手・久場俊子)

 東日本大震災から、11日で10年。未曽有の災害から、私たちは何を学んだのだろうか。東北の支援を続けてきた人、避難して新たな生活を築いた被災者、教訓を生かそうとする官民の関係者――。大阪から、被災地、そして防災に寄せる思いを聞いた。

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1901592 0 東日本大震災10年@大阪 語り継ぐ 2021/03/11 05:00:00 2021/03/11 05:00:00 2021/03/11 05:00:00 番組作りをする石元さん。「地域に密着するコミュニティーFMだからこそ、災害時に威力が発揮されると思う」(枚方市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210310-OYTAI50020-T.jpg?type=thumbnail

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