防災訓練 「密」避け楽しく 大阪狭山、13日スタンプラリー
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家族など少人数で ポイント巡り避難ルート確認
コロナ禍ならではの災害への備えを――。大阪狭山市の住民らが13日、スタンプラリー形式の「人が集まらない防災訓練」を初めて実施する。家族ら少人数のグループ単位で地域内に設けられたチェックポイントを巡り、防災知識を楽しく学びながら避難ルートを確かめてもらうのが狙い。来年3月で東日本大震災から10年。「3密」を回避した訓練モデルとして定着するか。(吉田誠一)
考案したのは、同市在住の防災アドバイザー岡本裕紀子さん(33)。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、1か所に大勢が集まる従来型の訓練や講演会は難しく、同市でも大規模な秋の総合防災訓練が中止になった。そのため、屋外で、少人数がそれぞれの都合に合わせて参加できる訓練を目指したという。
参加者は、避難所や危険箇所などのチェックポイントが記された「防災知識マップ」を手に地域を歩く。ポイントごとに防災知識を紹介するパネルが展示されており、マップのメモ欄にそれぞれが自分に必要な情報を書き込んでオリジナルマップを作る。
パネルで紹介される防災知識は幅広い。「非常持ち出し袋に追加しよう」として、懐中電灯や水、非常食といった従来の持ち出し品に加え、感染予防のため、使い捨てマスクや体温計、除菌グッズ、スリッパなどの持参を勧める。
また、「水害時の避難ポイント」では、▽天気予報をしっかり把握し、負傷しないように長袖、長ズボンで、明るい時間帯に早めに避難する▽長靴は水が入ると歩きにくいため、ひも靴で――などと具体的に説明するほか、地区内の一時避難場所や宿泊を伴う場合の避難所、障害者ら特別の配慮が必要な人らのための福祉避難所の違いを解説。どんな場合に、具体的にどこに行けば良いのかも記す。
楽しみながら学ぶための仕掛けは、他にもほどこされている。参加メンバー同士が防災について話し合えるよう、各ポイントで災害時の行動や普段の備えについてのクイズを出題。ゴール地点では、菓子や缶詰と、それらで作れる簡単な防災食のレシピを渡し、家庭などで試してもらう。
13日の訓練は、同市東池尻地区の自主防災会と地区会が主催で、地区会に加入する約700世帯が対象。参加グループごとに午前9~10時の都合の良い時間に出発し、ポイント6地点のうち、3地点以上を巡ってゴールの児童遊園を目指してもらう。
岡本さんは「家族などで避難場所やルートを確認しながらじっくり巡れば、具体的な注意点や危険箇所などが見つかるはず」と話し、「家庭ごとでの独自の防災マップ作りがコロナ禍での新たな訓練方法として定着するよう、ノウハウを広め、住民の防災力を上げたい」と意気込んでいる。