学校トイレ洋式化48.9%・・・府内公立小中
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耐震や空調優先 遅れも
島本98.8% 柏原22.3%
生活様式の変化による洋式トイレの普及を背景に、府内の公立小中学校でも、トイレの洋式化が進んでいる。9月の文部科学省の調査では、府内全体の洋式化率は48.9%で前回調査(2016年4月)より、12.1ポイント上昇。ただ、自治体間で最大約75ポイントの差があり、多くが「子どもたちが使いやすいように」と洋式化を進める一方、耐震補強工事などを優先し、遅れる自治体もある。(北口節子)
文科省は、家庭や公共施設で洋式トイレの普及が進むほか、バリアフリー化や災害時利用の観点からも洋式化を促しており、公立学校での改修費の3分の1を補助する制度を設けている。
今回の調査では、公立小中学校の洋式化率は府内全体では48.9%だった。
市町村別でみると、洋式化率が7割を超えたのは10市町で、うち島本98.8%、能勢97.6%、河南91.4%の3町では9割を超えた。守口市88.0%、四條畷市83.3%では8割を超えた。
一方、最も低かったのは、柏原市22.3%。岬町33.1%、松原市33.9%、堺、高槻両市34.7%など、9市町が3割台だった。
守口市は前回調査では45.6%だったが、今回は府内4位まで上昇した。改修工事は以前、年間数か所だったが、昨年度には補助制度を活用し、大規模に実施。市教委の担当課は「老朽化した和式トイレは『臭い』『汚い』などの理由で、児童生徒が排便を我慢するケースもある。健康面を心配する声もあり、改修を進めた」としている。
9月の調査では洋式化率72.8%だった貝塚市は、その後に市立第四中の改修が終了し、現在は85.2%に上昇した。同校は「きれいになれば生徒の心も落ち着き、使い方にも気を配るようになるはず」と期待する。
一方、最下位だった柏原市。遅れについて、市教委の担当者は「学校でのエアコン設置や耐震化工事を優先したことが原因」と説明する。今年度には、3校で改修工事を実施し、40%前後に引き上げる計画だ。
ただ、府内全体の洋式化率は全国平均(57.0%)を下回っている。ある自治体の担当者はこの現状について「地方などでは和式しかない施設もあるため、『和式の練習も必要』という教育的観点から、あえて残しているという現状もある」と話す。
府教委は「大阪北部地震で問題となったブロック塀の交換や、空調設備の拡充など地域ごとに優先すべき事項があり、それぞれの自治体で適切に判断してほしい」と指摘している。