焼き鳥、無人販売機あります 大阪狭山の「ときわや」店先に
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宮城の店にヒント 安心と元気を
新型コロナウイルスの感染が広がるなか、大阪狭山市内の焼き鳥店が、店先に焼き鳥の無人販売機を設置した。客からは「対面せずに買えて安心」と好評で、SNSでも話題に。宮城県内の焼き鳥店が販売機を導入したことを知った店主が、現地を視察して同様の販売機を特注して実現。「コロナ禍でもおいしい味を届け、まちを元気づけたい」と話している。(吉田誠一)
設置したのは市役所近くに店を構える「炭火焼鳥ときわや」。店先には無人販売機(高さ約180センチ、幅80センチ、奥行き60センチ)が置かれている。機内は保温され、上段には、店で最も人気があるせせりの「塩焼」、下段には「タレ焼」が4本ずつ袋に入れられて並ぶ。
価格は1袋500円(税込み)。硬貨を入れても自動的に焼き鳥が出てくるわけではなく、客が自分でガラス戸を開き、取り出す仕組み。「セルフ」式の販売機で備え付けのレジ袋に入れて持ち帰ってもらう。
同店では昨春以降、コロナの影響で売り上げは前年の半分以下に減少。その中、同店の穂積徹代表(60)は昨夏、報道などを通じ、宮城県石巻市の焼き鳥店が無人販売機を導入したことを知った。
「非対面型の販売を通じて感染防止に役立て、売り上げの減少も補えるのでは」と導入を検討し、昨年9月に現地を視察。現地では店の代表から、野菜の無人販売にヒントを得て工務店に販売機の製作を依頼して設置した経緯や、販売機の仕組みなどを聞き、「コロナ禍での明るい話題。ぜひ大阪でも広めて」と激励されたという。
穂積さんは、大阪に戻り、同じ仕組みの販売機を府内の工務店に特注。木材で作った販売機内に保温器2台を入れて50度で保てるようにした。無人販売機は「がってん」と名付け、今月5日に設置した。
販売機内の焼き鳥は2時間ごとに新しいものに替えている。店員と対面せずに出来たてが購入できるとあって、ツイッターなどで評判が広まり、現在では平日に40袋、週末は80袋ほど売れている。リピーターもおり、地元の子どもたちも買いに来る。
府内への緊急事態宣言を受け、2月7日まで店の営業は午後5~8時だが、販売機は午後1~9時まで購入可能。店のフェイスブックで購入方法の動画を載せている。対面販売のテイクアウトもしているが、穂積さんは「店員との接触がない販売機で、より安心して焼き鳥を購入してもらっている。この販売機でコロナ禍と闘い、打ち勝ちたい」と話し、増設を検討している。