堺PR動画 作ってみた
完了しました


地元団体依頼、ユーチューバー 古墳など訪問
1か月で視聴38万回超
「ユーチューバー」が堺市内の観光スポットを巡り、紹介する動画が人気を集めている。市などでつくる国際交流団体がその発信力を買い、有名なユーチューバーに制作を依頼。昨年12月下旬の公開から約1か月間で視聴回数は38万回を超えた。全国でも自治体などがユーチューバーに動画制作を任せる動きは広がっており、団体の関係者は「様々な層に堺の魅力を伝えられれば」と期待している。(浦野親典)
制作したのは、各地での旅の様子や、鉄道を紹介するユーチューバーのスーツさん(23)。着用するスーツが名前の由来で、制作、運営する旅行チャンネルには計35万人が登録している。
動画を依頼したのは、市や市内の経済団体、大学でつくる「堺・アセアンウィーク実行委員会」。中世に堺との貿易が盛んだった東南アジア諸国の学生を招き、交流イベントを開催してきた。しかし、昨年は新型コロナウイルスの影響で断念。そこで、市が「東南アジアを含め、広く国内外に堺の魅力をアピールしたい」と考え、スーツさんに制作を任せた。
スーツさんは昨年10月25、26日に1泊2日で堺市を訪れて撮影。仁徳天皇陵古墳を訪ね、市役所高層館展望ロビー(21階)から古墳を見下ろし、「こんな立派な構造だったとは、すごい」などと言って、古墳巡りを堪能した。
また、市内の伝統産業として伝わる包丁や線香を製造する工場も訪問。職人らが作業を進める様子を見学した。和菓子店では、堺の名物「けし餅」を味わい、「ケシの実がプチプチと新感覚」とリポートした。
撮影には、堺市側も全面的に協力。市のキャラクター・ハニワ部長と面会する場面を設けたほか、南蛮衣装で街中を巡ってもらおうと、衣装を貸し出した。
スーツさんはこれまで、箱根や奈良など全国各地を鉄道やバスで訪ねた動画を制作してきた。今回は当初、約40分の映像に編集する予定だったが、結果的に2倍の約80分に引き延ばした。スーツさんは「長くなったが、堺はそれだけ歴史ある街で、丁寧に説明する必要があった」と語る。
昨年12月26日に公開され、1月21日現在で視聴回数は約38万回を記録。市担当者は「コメント欄には『行ってみたい』という内容も多く、堺の良さをうまく伝えてもらえた」と手応えを語る。来年度も別のユーチューバーを招いて、映像発信を検討している。
近年、ユーチューバーを観光PRに活用する事例が増えている。
横浜市の「横浜観光コンベンション・ビューロー」は昨年11月、人気ユーチューバーらに横浜の魅力を紹介してもらう動画サイトを開設。「一人飲み」動画で注目を集める「酒村ゆっけ、」さんが定番のデートスポットを紹介した。長野市の「ながの観光コンベンションビューロー」も人気のユーチューバーらが観光地を訪ねる動画を公開している。
◆ユーチューバー 動画サイト「ユーチューブ」に制作・編集した動画を投稿する人。再生回数に応じた広告収入を得ている。自ら出演することも多く、内容は体を張った体験や、料理など様々。ランドセル素材メーカーが新小学1年生を対象に昨年行った「将来就きたい職業」アンケート(男子の部)で10位に入った。