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池田小児童殺傷20年 事件原点、小児科医の道

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大阪市立大病院で研修、中原さん 「命救い笑顔にしたい」

 2001年の大阪教育大付属池田小(池田市)の児童殺傷事件で、同級生が襲われる現場にいた大阪市天王寺区の中原康輔さん(28)が、小児科医の道を歩み始めている。母校の大阪市立大病院で研修医として子どもたちと向き合う。あの日から20年になるのを前に、中原さんは「事件は私の原点。子どもたちの命を救い、笑顔にさせる医師になりたい」と語る。(福永正樹)

 あの日、2年東組の教室で2時限目の国語の授業が終わった直後に事件は起きた。血が付いた包丁を手にした男が突然、教室前方のドアから侵入し、近くの女の子の腹を刺した。担任の男性教諭が教卓のパイプ椅子で男を殴り付け、「逃げろ」と叫ぶのを聞き、教室後方にいた中原さんも友達と一緒に運動場に逃げた。

 女の子が心配になり教室に戻ったが、担任から「逃げなさい」と言われ、その場を離れた。次々と救急車が到着し、同級生が運ばれていった光景は、今も忘れられないという。

 高校生になり、大学の進路を考えていた時、事件のことを思った。児童8人が亡くなり、教師2人を含む15人が負傷、心に傷を負いカウンセリングを受ける同級生もいた。「自分が被害に遭っていた可能性もある。あの時は何もできなかったが、将来は自分が子どもたちの命を助けたい」と医師になる決意をした。

 14年に市立大医学部に進学。卒業後、昨年4月からは、市立大病院で研修医として働く。産婦人科や呼吸器内科などで実習し、救急の現場では新型コロナウイルスに感染した重症患者に対応する先輩医師の姿にも触れた。「苦しむ人たちを助けられる仕事」。やりがいと責任を実感した。

 今年4月からは希望していた小児科での実習が始まった。病院には「血液のがん」とも呼ばれる白血病や、免疫機能の異常が原因とされる1型糖尿病、先天性の病気など様々な病を抱えた子どもたちがいる。アニメのキャラクターグッズを身に付けて診察すると喜んでくれる子どもたちがいる一方、助けられない命がある現実にショックを受けることもあった。まだまだ力不足を実感するが、一人ひとりに寄り添った治療を心がけている。

 事件当時の自分と同じ年代の子どもたちと向き合った時に、事件を思い出して命の大切さを考えることもある。中原さんは「病気や事故などで苦しむ子どもたちを治療し、未来に希望を持たせる医師になることが、自分の進むべき道だ」と確信している。

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