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「長屋」で保育、学習支援評価
住みよい地域社会づくりに取り組む団体などを表彰する「あしたのまち・くらしづくり活動賞」(あしたの日本を創る協会、読売新聞東京本社など主催)で、豊中市の任意団体「
活動の拠点とする一軒家は木造平屋で、団体名にもある「長屋」のようなアットホームな雰囲気だ。和室の2部屋を使って、保育や学習支援を実施。代表で、自身も小学5年生の女の子を育てるシングルマザーの渕上桃子さん(43)は「取り組みを評価してもらい、うれしい。背筋が伸びる思いだ」と受賞を喜ぶ。
活動の原点は8年前の2013年。仕事を探していた渕上さんが保育所に子どもを預けられず困った経験から、一軒家を借りて毎週土曜日に学童保育を始めた。
「自分のようなつらい思いをする親を減らしたい」と、16年には同じシングルマザーの友人と保育所を設立。17年からは、「温かい食卓を知ってほしい」と月1度、子ども食堂を開催している。野菜の和え物や酢の物など家庭的な料理を心掛けており、「工夫して毎回違う献立にしているのが自慢」と胸を張る。
子ども食堂を提案したメンバーの池田織江さん(55)は「子どもたちには親戚の家にでもいるような気持ちで、楽しくご飯を食べてほしい」と話す。
昨年からは、コロナ禍で、家で長時間過ごさざるを得ない子どもたちの居場所をつくろうと、小学生から高校生を対象に、軽食付きの学習支援も始めた。子どもの勉強を見るのは、ボランティアの学生らだ。渕上さんは「必要とされる支援は変わっていくので、その都度応えたい。小さな規模の団体だが、温かく子どもたちを包む場所として、これからも守っていきたい」と力を込める。
小学生が取材冊子作り

「団欒長屋プロジェクト」の様々な活動の中でも特徴的なのが、小学生が地元の店や団体を取材して冊子にまとめる「だんらんしんぶん」だ。
これまで13回発行。子どもたち自身が取材先や企画を決めることで主体性を育むのに役立っている。地域に配られ、交流を生むきっかけともなっている。
池田さんの次男で高校2年尚弥さん(16)は小学生時代に「しんぶん」づくりに参加した。「取材を通じて多くの人と出会い、大きな影響を受けた」とし、「将来は活動を支える側になりたい」と話す。