移住者営むコーヒー店 嬉野温泉街 焼き物作家ら2人 花器や古書も 「色々な人集う場に」
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嬉野温泉街から一歩入った住宅地で、移住してきた若者がコーヒースタンドを開店した。喫茶店と違い、立ち飲みやテイクアウト中心の小さな店で、「地域内外の人が交流できる場を作りたい」との思いで始め、3か月が過ぎた。住民や観光客が気軽に立ち寄れる店として、徐々に評判が広がっている。
嬉野市嬉野町岩屋川内の「おひるね諸島」。店名は島々が連なる諸島のように色々な人がつながる場所にしたいとの思いを込めた。
運営するのは長崎市出身で陶磁器や映像作品を手がける作家、中村将志さん(33)と、パートナーで東京都出身のイラストレーター、
ともに東京芸術大大学院を修了。中村さんは2017年夏に移住し、県窯業技術センター(有田町)で焼き物を学んだ。大門さんも同時期から今年3月末まで、地域おこし協力隊員として嬉野市を拠点に活動した。
店の入る建物は元は造船会社の保養所だったが、近くの旅館「大村屋」が、地域観光交流の拠点にしようと17年に買い取り、今春から2人にアトリエなどとして貸し出していた。大村屋の北川健太社長(36)が「2人のような移住者や、旅で訪れた人に地域を知ってもらう入り口にしたい」と後押し。9月4日に開店した。
メニューはコーヒーのほか、地元産紅茶を使ったストレートチャイ、10種類以上のスパイスをブレンドするクラフトコーラ(いずれも税込み430円)など。カフェでアルバイト経験のある大門さんがコーヒー豆を仕入れ、カレー作りが得意な中村さんがスパイスを調合する。
店先では、中村さんの作る有機的な形の花器やカップ、大門さんが県内の風景写真とイラストを組み合わせたポストカード、古書なども販売している。
店の評判は口コミなどで広がり、休日には1日約20人が訪れる。観光客だけでなく、散歩途中の住民や、高校生も来るようになり、お気に入りの一杯を片手に会話を弾ませる。
大門さんは「繰り返し足を運んでくれる人が増えてきた」と充実した表情で語る。中村さんも「嬉野で何かしたい人が気軽に集う場所にしていきたい」と語る。
営業時間は金、土、日、月曜の午前11時~午後6時。詳細はおひるね諸島のインスタグラムで。