木之本にすてきな音楽を

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

エンモ・コンサーツ代表 加藤  (あきら) さん 59

 長浜市木之本町に、最後列の聴衆にも奏者の息遣いまで伝わるような300席の小さなホールがある。1990年に旧木之本町が整えた木之本スティックホールだ。アットホームな雰囲気のこの場を拠点に4月、地元の音楽家によるクラシックなどの公演を支援する団体「EMMO―Concerts(エンモ・コンサーツ)」を発足させた。

企画した公演のチラシを手に思いを語る加藤さん(長浜市で)
企画した公演のチラシを手に思いを語る加藤さん(長浜市で)
初めて企画した弦楽四重奏団のコンサート(8月1日、長浜市で)
初めて企画した弦楽四重奏団のコンサート(8月1日、長浜市で)

 名称には、音楽家と住民との「縁」を取り持ちたいとの思いを込めた。この夏に初めて企画したコンサートには音楽ファン100人以上が訪れ、手応えを感じている。

 「いつの時代も色あせない」クラシックのとりこになったのは、小学生の頃に子供用のレコードの宣伝チラシを見て、親に頼んで買ってもらったのがきっかけだ。中高生の頃には京都市交響楽団の公演に通い詰め、バイト代で集めたレコードは500枚にも。名盤の曲名や指揮者名は、ほぼ全てを頭に入れていたため、友人からは「歩くレコードカタログ」と呼ばれるほどだった。

 自身、オーケストラの指揮者を志してピアノを習い、大阪芸術大に進んだが、道の険しさを知って断念。その後は約30年、大手下着メーカーで営業職として働いた。しかし「音楽に携わりたい」との思いが、年を重ねるごとに募っていく。2019年に早期退職し、スティックホールを管理する長浜市の会社に飛び込んだ。

 ホール運営の現場に立つと、音楽家たちが公演チラシの作成やチケット販売、会場の手配といった舞台裏の仕事に追われる姿が見えてきた。「不慣れなことに煩わされることなく、いい演奏に集中してもらいたい」。周囲にそんな思いを打ち明けると、作曲家や声楽家らに賛同の輪が広がり、約10人で団体を結成した。

 目指すのは、演奏者の思いに沿い、子どもから高齢者まで誰もが気軽に参加できるコンサートだ。奏者とアイデアを出し合い、当日は舞台進行や照明なども担ってサポートする。演奏者には、収益とともに観客の感想も届ける――。

 「相手のニーズに最大限応え、喜んでもらう。営業職として意識し続けたことに似ている」と笑う。

 8月1日に初めて企画した「スティックホール弦楽四重奏団」の演奏会には、SNSを通じて、これまでクラシックになじみのない人らも訪れ、モーツァルトやベートーベンの名曲に聴き入った。

 「素晴らしい演奏に元気をもらいました」「またぜひ来たい」との反響が寄せられ「この地域にすてきな音楽を届けたい」との思いを一層強くした。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、ホールは8月下旬から臨時閉館を余儀なくされている。準備してきた地元出身のピアニストらのコンサートも、ことごとく延期となり、先が見通せない状況が続く。

 それでも「地元から羽ばたく若手や、よそから来てくれる奏者に『またここで演奏したい』と思ってもらえる公演を実現していきたい。ホールの外でも音楽のプレゼントはできる。楽しみに待つ地域の人との縁をつなぎたい」とまっすぐ前を向いている。(松山春香)

       ◇

 京都市出身。大学卒業後、最初は楽器店に勤めた。大手下着メーカーに転じたのは、音楽制作部門の募集があったためだが、なぜか営業職に配属されたという。退職後の昨春、長浜市木之本町へ移住した。一番好きな作曲家はドボルザーク。エンモ・コンサーツの詳細はフェイスブック(https://www.facebook.com/emmoconcerts)。問い合わせは電話(070・5575・1973)またはメール(emmo-concerts@outlook.jp)で。

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
2380825 0 人あり 2021/09/20 05:00:00 2021/09/20 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210920-OYTAI50002-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)