「比良比叡」山歩き 魅力発信

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県山岳連盟会長 沢山 恵さん 68

 比叡山と比良山地を結ぶ「比良比叡トレイル」は、琵琶湖や対岸の伊吹山、鈴鹿山脈を望む絶景と、湿地や滝など変化に富む地形が魅力の登山ルートだ。山仲間や県山岳連盟のメンバーとともに足かけ5年にわたって整備を続け、この夏には山歩きに最適な「比良比叡トレイルマップ」を完成させた。

トレイルマップを手に「今後も滋賀の山の魅力を伝えていきたい」と語る沢山さん(大津市で)
トレイルマップを手に「今後も滋賀の山の魅力を伝えていきたい」と語る沢山さん(大津市で)
2018年9月の台風21号の後、倒木に塞がれた登山ルートを調べる県山岳連盟のメンバーら=沢山さん提供
2018年9月の台風21号の後、倒木に塞がれた登山ルートを調べる県山岳連盟のメンバーら=沢山さん提供

 メインルートやそこへの行き道、迷いやすい地点を分かりやすく色分けして表示。山の安全を願う思いも込めたマップは、連盟などでつくる「比良比叡トレイル協議会」のホームページや大津市内の観光案内所で売り出され、すぐに「使いやすい」と好評を得て、1か月ほどで300冊以上が売れた。「マップは山歩きの命綱。その完成があってこそのルート整備なので、とてもうれしい」と顔をほころばせた。

 同志社大時代に旅好きが高じて山岳同好会に入会し、山歩きの魅力にとりつかれた。卒業後は県立高校の社会科教師となり、山岳部の顧問を長く務めた。「山に入ると汗まみれになって汚れるのに、下りるとまた登りたくなる。尽きせぬ魅力が山にはある」という。

 これまで、北側の比良山地と、観光地でもある南側の比叡山周辺のルートはそれぞれ確立されていたが、二つを結ぶ安全な登山道は未整備だった。とくに仰木峠―権現山は山歩き用の地図すら見当たらなかった。

 今回のトレイルの整備は、現在、協議会の事務局長を務める小川隆さん(82)が2016年頃に全体のマップ作りを発案したのがきっかけだ。県山岳連盟がルートの調査や整備の実動部隊となった。

 連盟に観光団体や企業などが加わり、17年にトレイル協議会ができると、中心メンバーの一人として、仲間とルートの候補地を何度も踏査。急斜面など危険な場所がないかを確認し、一般の人も安全に楽しめる道を探した。

 19年4月には連盟の会長に就任。その後も自ら山に赴き、迷いやすい地点では周囲の樹木に道しるべを付けるなど、ルート整備の「現場監督」であり続けた。

 その間、困難にも見舞われた。18年9月の台風21号で、せっかく設定したルートが無数の倒木で塞がれ、設置した道しるべはボロボロに。「仲間の努力が水の泡になるのかとつらかった。最後までやり遂げようと力を振り絞った」。倒木をチェーンソーで切るなど、荒れた山道の整備に仲間と汗を流し続けた。

 19年11月には比叡山と比良山地が「日本山岳遺産」に認定され、協議会は大津市坂本地区から高島市朽木地区へ至る52キロのPRを本格化。その後も整備を続け、今春、道しるべの設置が一段落ついたところだ。

 コロナ禍が長引く中、京滋の街に近く、低山もあるルートでは、密を避けようと山を訪れる初心者の遭難が少なくない。今後はルートの案内人や通訳の育成を進め、より多くの人が山歩きを安全に楽しめるようにするつもりだ。

 「樹木の間から琵琶湖が広がる。滋賀の山からしか見えない景観の素晴らしさをいろんな人に知ってもらいたい」と意欲を燃やしている。

 (辻井花歩)

          ◇

 生まれ育った栗東市で暮らす。1985年にヒマラヤ、96年にチベットの山へ赴くなど、世界の山々に挑戦してきた。退職後は世界一周の船旅を経験。世界史などを担当した元社会科教師として「歴史の現場を見たかった」という。マップは税・送料込みで1100円。大津市内の堅田駅前、石山駅両観光案内所などで販売。比良比叡トレイル協議会のホームページ(https://hirahiei.com)にも注文フォームがある。協議会では賛助会員や寄付を募っている。問い合わせはホームページから。

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