<2チェンジ>彦根仏壇の技で新商品

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新感覚の仏壇や新しい分野に挑戦しているナナプラスのメンバー(彦根市で)
新感覚の仏壇や新しい分野に挑戦しているナナプラスのメンバー(彦根市で)
彦根仏壇の彫刻師として歩み始めた中路さん(甲良町で)
彦根仏壇の彫刻師として歩み始めた中路さん(甲良町で)

 ◇伝統生かし守る

 「チーーン」。おりんの音が鳴るのは、スマートフォンに映し出された仏壇。画面に触れればろうそくや線香に火をともし、故人の写真や戒名を飾ることもできる。

 アプリを開発したのは彦根市の伝統産業、彦根仏壇の関係者有志で作る「■+(ナナプラス)」だ。「新しい祈りのかたち」を提案し、現代のライフスタイルに合った仏壇を「自由壇(フリーだん)」と命名し開発、販売している。

 「バーチャル仏壇は、あくまでも新しい形の仏壇を知ってもらうための道具。実際の購入につながれば」。メンバーの一人、井上仏壇社長の井上昌一さん(51)は言う。背景には、危機感がある。

 350年の伝統を誇る彦根仏壇を取り巻く環境は、「平成」に大きく変わった。家から仏壇が消え、手を合わせる習慣が薄れた。県の統計によると、1991年の生産額は56億6000万円とピークに達したが、2017年には21億円にまで落ち込んだ。

 彦根仏壇は、工部七職といわれる「木地」「彫刻」「蒔絵まきえ」などの各職人が分担し作り上げる。仏壇が売れないと、七職の職人に仕事が回らない。

 11年に生まれたナナプラスは従来の仏壇の殻を破った斬新な製品を発信する。信楽焼やガラス工芸とのコラボ、インテリアに溶け込む色や素材の使用……。井上さんは「変化には、対応していかなければいけない」と言い切る。

       ◇

 彦根仏壇の技術をどう生かし、どう守るのか。

 大手の永楽屋は、販売だけではなく自社工場を持ち、職人の養成も行う。中路祥子さん(26)は彫刻師として働く。

 京都伝統工芸大学校で彫刻を学び、15年にこの世界に飛び込んだ。「彫りは一生できる仕事。仏壇をやりながら新しいものにも取り組みたい」と意気込む。

 彦根市も、後継者育成の補助金制度を設け、職人希望者を雇用した事業所に人件費の半額(上限ひと月10万円、最大3年)を補助し、地場産業を支える。

 技術を用いて、仏壇以外の商品作りへの挑戦も始まっている。

 井上仏壇は、アジアの富裕層をターゲットに高級腕時計の収納ケースを作る。七職の技術の粋を集めたケースは数百万円にも上る。

 彦根仏壇事業協同組合も、国内外の愛好家向けに高級甲冑かっちゅう(150万円)の製作、販売を始めているほか、祭りで使う曳山ひきやまのミニチュアを作って、仏壇の技術が祭りにも活用できることをPRしている。

 組合の理事長も務める永楽屋社長の宮川孝昭さん(74)は「全国の産地も生き残りをかけ、様々な取り組みを行っている。その中で勝たなければならない」と気を引き締める。

       ◇

 彦根仏壇は江戸時代中期に、よろいかぶとの武具を作っていた職人集団が、需要が減ったため転向したのが始まりとされる。戦乱の世から太平の世に。そして今は、再び巡ってきた転換期なのかもしれない。(森川明義)

 

 ◇大津絵 現代風にかわいく

「大津絵まんが」バージョンの飛び出し坊やの看板と山崎さん(大津市で)
「大津絵まんが」バージョンの飛び出し坊やの看板と山崎さん(大津市で)
山崎さんが制作したラインスタンプ(c)ゑびす企画
山崎さんが制作したラインスタンプ(c)ゑびす企画
(上、下)配信するラインスタンプ©ゑびす企画
(上、下)配信するラインスタンプ©ゑびす企画

 江戸時代に人気を呼んだ民俗絵画「大津絵」を、現代風にかわいくアレンジした「大津絵まんが」が注目されている。

 手がけるのは大津市のイラストレーター山崎泰佑さん(41)。20歳代で難病にかかり、入院していた病棟から大津絵師・4代目高橋松山さん(2018年8月、85歳で死去)の店が目に入り興味を持った。自己流でイラスト化したポストカードを作り始めた。

 販売する前に高橋さんに作品を見てもらおうと、店を訪ねた。「怒られる」と覚悟していたが「面白い、デザインも秀逸や」とお墨付きをもらった。その後も高橋さんに監修してもらいながら制作を続けた。「邪道と言われることもあったけれど、大津絵の伝統を変えるのではなく、大津絵まんがをきっかけに知ってもらいたい」と話す。

 2016年には若者向けに、LINE(ライン)のスタンプも配信。大津絵まんがバージョンの「飛び出し坊や」の看板も作った。活躍の場は広がっていきそうだ。(豊嶋茉莉)

※■は「さんずい」と「七」の下に「木」

60842 0 未来のオウミ 2019/01/03 05:00:00 2019/01/03 05:00:00 7職の技術をつかった新感覚の仏壇やウオッチワインダーなど新しい分野にも挑戦しているナナプラスのメンバー(井上仏壇で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190102-OYTAI50096-T.jpg?type=thumbnail

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