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<3>鉄製アンカー開発に活路

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受注停止、父の病乗り越え

防護めがねをつけて、旋盤に向き合う坂根さん(草津市で)
防護めがねをつけて、旋盤に向き合う坂根さん(草津市で)
坂根さんが開発した「プレートアンカーG」(手前二つ)。奥は試作品(草津市で)
坂根さんが開発した「プレートアンカーG」(手前二つ)。奥は試作品(草津市で)

 有線放送の歌謡曲が流れる草津市の町工場。金属を加工するマシニングセンターなどを駆使し、坂根佳明さん(41)が作り上げたのは「プレートアンカーG」。長さ10センチ、幅2センチ、厚さ1・2センチ。両端がとがり、2か所に穴が開く。ビニールハウスなどを支えるワイヤの先に取り付け、地中で固定する鉄製のくいだ。新型コロナウイルスで打撃を受けた有限会社の〈希望〉でもある。

 父・良信さん(72)が45年前に創業した「フジヤ」の工場が、幼い頃から遊び場だった。大学卒業後、音楽イベント会社などで勤務するうち心を病み、働けなくなった。23歳の頃、良信さんの勧めで機械操作を学び、発電所で使われるケーブルの接合部品や血糖値計測器の部品などを受注し、注文通りに仕上げる仕事をこなしてきた。

 近年は取引先が増えず、売り上げは伸び悩んだ。2019年12月に社長を引き継いだが、仕事に携わるのが良信さんと妻(38)との3人だけという状況は変わらず、経営改革はままならない。そして年が明け、コロナ禍に襲われる。

 20年の春、主力製品の受注が止まった。追い打ちをかけるように、良信さんが脳梗塞こうそくに倒れた。会社の財務状況を改めて確認し、借金がかさんでいる現実に「地獄に落ちたような気分だった」。

 政府の持続化給付金200万円、社会保険の支払い猶予措置、無利子借り入れなどでつなぐ中、脳裏に浮かんだのがアンカーだった。

 18年の台風被害でビニールハウスを飛ばされた農家から相談を受け、転用可能な他社製品を仕入れて販売していた。大手取引先から「抜けやすい」などの声を受け、20年から自社開発を始めたが、商品化には至っていなかった。

 受注が途絶えたことで開発に本腰が入った。近年は豪雨被害が相次いでおり、ニーズはあるはず――。材質をアルミから安価で強い鉄に変え、筒状の形を地中で抵抗を増やすプレート状に。試作しては県内外の農地などを訪ねて実験を繰り返し、地面に刺さりやすく、かつ抜けにくい商品に仕上げた。

 大手会社との商談がまとまり、21年1月に初納品する。以降は海外工場で大量生産し、今春から広く販売する道筋をつけた。

 受注して図面通りに作るスタイルに、自ら開発して売り込む営業形態が加わった。「結果的に、コロナに後押しされた形で、仕事に幅ができた」。さらに改良し、風に負けないビニールハウスのパイプ作りなど、日本の農業を支えるための仕事を考えている。

 「社会に必要とされる限り、工場はたたまない」。自身の「右腕」というマシニングセンターに向き合いながら、窮地を脱するための闘いを続ける。(藤井浩)

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1745651 0 あすへの一歩 2021/01/04 05:00:00 2021/01/04 05:00:00 2021/01/04 05:00:00 防護めがねをつけて、旋盤に向き合う坂根さん。真剣なまなざしだ(草津市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210104-OYTAI50004-T.jpg?type=thumbnail

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