読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

<4>パン作り 好きを仕事に

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

笑顔で接客する門川さん。母の経営する居酒屋で、パン作りと販売に奮闘している
笑顔で接客する門川さん。母の経営する居酒屋で、パン作りと販売に奮闘している
店頭に並ぶバリエーション豊かなパン(彦根市で)
店頭に並ぶバリエーション豊かなパン(彦根市で)

会社辞め 居酒屋間借り

 住宅街に飲食店や物販店が点在する彦根市後三条町。一軒の居酒屋の入り口に、バリエーション豊かなパンが並び、食パンのシルエットが入った暖簾のれんが揺れる。

 「この前、買ったパン、おいしかったよ」。立ち寄る高校生や家族連れの声に、笑顔で応じる門川幸世さん(44)。26年間の会社勤めを経て、2020年10月に開業したばかり。母ひで子さん(74)が経営する店を間借りしてのスタートだ。

 県内の信用金庫などに十数年勤めた後、08年に近江八幡市の自宅に近い金属加工会社に転職し、事務職を担当した。20年春に長男は就職し、長女は高校に進学。2人の子どもの進路が決まり、平穏になるはずだった心境は、その前後から揺れ始めた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、会社の受注が激減した。5、6月は休業日が多くなり、出勤日は月のほぼ半分程度に。給料もダウンし、「国の定額給付金の10万円があって一時は助かったが、その後は主に食費を切り詰めてやりくりした」。

 出社しても仕事はほとんどない。「椅子に座っているだけなのに、減ったとはいえ給料をもらえる。その現状に耐えられなくなった」

 思い悩んだ末、決断したのは、趣味のパン作りを仕事にすることだった。

 友人の誘いで始め、14年2月から月1回、京都市内の天然酵母のパン教室に通った。「一人で行う生地作りや発酵、焼成などの工程が、味わいや食感に反映することに充実感を覚えた。天然酵母や、小麦の産地など素材にもこだわるようになった」。2年半学んで指導者の資格を得て、自宅で教室を開講。県内で開かれるマルシェなどに月1、2回出店し、好評を得ていた。

 店を出したい。唐突な申し出に、周囲は反対した。「勤め先があるだけでありがたいのに」「コロナで特に飲食業が大変なはず」。しかし、ひで子さんは、コロナで打撃を受けていたにもかかわらず、「自分の人生なんだから自分で決めなさい」と伝え、開店資金のない娘に、「間借り」を認めた。

 店名は「はれぱん」。長男の名前・大晴たいせいさん、長女の晴菜はるなさんから同じ1文字を取った。火~土曜の午前11時から午後4時半まで営業する。天然酵母にこだわり、食パンから菓子パンまで12~15種類を焼く。生クリーム食パンやオレンジチーズ、塩ロール、カレーパンなどが人気だ。

 「初めての自営業。はやらなかったらどうしようという不安もあるが、自分の店を持てるよう頑張るだけ」。独立することが、背中を押してくれた母への恩返しだと思っている。(名和川徹)

無断転載・複製を禁じます
1747828 0 あすへの一歩 2021/01/05 05:00:00 2021/01/05 05:00:00 2021/01/05 05:00:00 笑顔で接客する門川さん。母の経営する居酒屋で、パン作りと販売に奮闘している(彦根市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210105-OYTAI50004-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)