<2>「ほどほど田舎」強みに

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

移 住

 コロナ禍で感染爆発に見舞われた都市部は、医療崩壊の危機に直面するなど思わぬもろさを露呈した。全国で密を避け地方に移り住む流れが生まれ、大阪や京都、名古屋に近い県は有力な候補地となっている。

■お試し

 「こんだけ土のついた野菜触ったん、初めてですわ」。昨年12月2日、多賀町久徳の畑で、堺市出身の平石武さん(35)が地元の人たちに交じって「多賀にんじん」の収穫を体験した。

多賀にんじんを手に笑顔を見せる平石さん(左端)(多賀町で)
多賀にんじんを手に笑顔を見せる平石さん(左端)(多賀町で)

 東京の会社で映像デザインを手がける平石さんは新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークとなり、2020年11月、東京を離れた。元々、首都圏の過密さを息苦しく思っていた。さらに、自宅で終日パソコンに向かう生活となり「発狂しそうだった」という。

 会社との業務契約は継続し、田舎暮らしを求めて石川、山形、岐阜などを転々とした。関西への移住を視野に入れた昨年7月、県の事業で、参加者を募っていた農山村お試し移住プランに応募。21組もの中から選ばれた。

 11月から1か月間、県や地元の受け入れ団体が紹介する多賀町の改修済みの古民家に住んだ。朝は小鳥のさえずりで目覚め、車で約15分の彦根市内の共有オフィスに通う。堺市の実家にも電車で2時間半だ。「ストレスは格段に減った」と話す。

古民家に住み、少人数制の料理教室を開く篠田さん(米原市で)
古民家に住み、少人数制の料理教室を開く篠田さん(米原市で)

 町内で出会った人から近江の歴史を教わり「地域の人とも濃いつながりができた」と喜ぶ。お試し移住を終え、いったん実家に戻ったが「今後も滋賀に拠点を持てたら」と考えている。

■体験談紹介

 県は滋賀での暮らしぶりを語る移住者の体験談をホームページで紹介し、新たな移住者の獲得に力を入れる。

 京都市出身の料理研究家、篠田仁美さん(54)も体験談を語っている一人。昨年3月、奧伊吹にある米原市甲賀に移住した。「集団感染を起こしてはならない」と、大津市で開いていた大規模な料理教室は閉じた。米原で借りた古民家で開く教室は1日4人限定だが、根強いファンが通ってくる。

 田舎暮らしには不安もあったが、集落の人は、教室の日に玄関先に花を生け、こんにゃくの作り方、キイチゴの見分け方を教えてくれた。夜は地元産のトマトを使ったソースなどレシピの開発に没頭。居を移してから生活の質が高まった実感がある。

 「都会の 喧騒けんそう に疲れ、1人になりたいと言う人がいるが、田舎では地域の人との会話が大切だと思った」と篠田さん。寺の行事に参加したり、ご近所さんとのLINEグループに入ったり。地域に溶け込むにつれ、暮らしは楽しくなっていく。

 県は移住希望者向けの冊子で、滋賀を「ほどほど田舎、ほどほど都会」と表現する。2020年の国勢調査で県は近畿2府4県で唯一、人口が増えた。人口減少地域の県北部に移住者を呼び込めれば湖国はもっと活気づく。県農村振興課の担当者は「コロナ禍を経て地方や農村への関心が高まっていると感じる。受け入れ態勢をさらに充実させたい」と力を込める。(西堂路綾子)

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
2645064 0 コロナ下を生き抜く~湖国の挑戦 2022/01/03 05:00:00 2022/01/03 05:00:00 2022/01/03 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220102-OYTAI50087-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)