<4>新たな旅のスタイル

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グランピング

「地域に恩返ししたい」と話す草野さん(米原市内で)
「地域に恩返ししたい」と話す草野さん(米原市内で)
ドーム型の宿泊施設でくつろぐ利用者。窓越しに伊吹山が見える(米原市内で)
ドーム型の宿泊施設でくつろぐ利用者。窓越しに伊吹山が見える(米原市内で)

 新型コロナウイルスの感染拡大で人が集うレジャー施設が厳しい運営を迫られるなかでも、キャンプの豪華版「グランピング」は好調だ。密を避けられる新たな旅のスタイルとして注目されている。

■まるでホテル

 伊吹山にほど近い米原市池下のグランピング施設「グランエレメント」。シーズン終盤の昨年12月9日、平日にもかかわらず複数の予約が入っていた。昨年9月期決算で過去最高の売り上げを記録。年間約1万人を呼び込み、コロナ禍でも客は減っていない。

 2017年、県内最大級の施設としてオープン。約4万7000平方メートルの敷地に様々な形のテントやコテージなど15室が点在し、他の客との接触はほとんどない。ウッドデッキのダイニングや池へこぎ出すカヌーが全室にある。

 エアコンやベッドを備え、シャワー、トイレ付きのタイプもある。ホテルに宿泊しながらキャンプを楽しむようなイメージだ。

 カップルで訪れた大阪市の飲食店経営、浜脇隆徒さん(30)は夕方、施設に到着した。グランピングは初体験。「人混みもなく自然の中だから感染リスクも低いと思う。ゆっくりくつろげそう」と笑顔を見せた。

 施設ではコンシェルジュが和牛串焼きやパエリアなどを運び、バーもある。1泊2日で滞在し「滋賀は琵琶湖だけじゃなく山もいい。スキーにも行ってみたい」。初めての湖北は好印象だったようだ。

■自然を味方に

 施設を運営するのはスキー事業がメインの「奥伊吹観光」。赤字続きだった公営のミニゴルフ場の運営を引き継いだ3代目社長の草野丈太さん(41)が、約3億5000万円をかけてグランピング施設に作り替えた。

 同社を創業した祖父・丈正さん(故人)は、地域の悩みの種だった豪雪を「味方にする」と奮起し、伊吹山系にスキー場を建設した功労者。冬場の雇用を創出し、観光客を呼び込んだ。

 大自然は大切な地域資源――。祖父を思いながら草野さんが興した新事業は、コロナ禍を象徴する「密の回避」「ソーシャルディスタンス」といった新しい生活様式にフィット。人々が外出を控える中でも稼働率80%を維持し、土日はなかなか予約がとれないという。

 湖国の観光をPRするびわこビジターズビューローの西田秀孝・企画広報部長は「京阪神や中京圏に近い好立地を生かし、湖北や湖西を中心に豪華なものからキャンプに近い形態まで様々な施設が続々とできている」と話す。

■雇用維持にも貢献

 奥伊吹観光はスキーとグランピングの営業が重なり、人手を求めた21年春、感染拡大で自宅待機になった長浜市の結婚式場の社員を出向で受け入れ、地域の雇用を守った。草野さんは「プロを受け入れて接客のレベルが上がった。双方にとって有益だった」と強調する。

 グランピング料理の通信販売にも乗り出した。飲食店の休業で在庫を抱える県内の食品卸売業者を応援したい。そんな思いもあった。

 先行きが不透明ななかでも、草野さんには「何とか乗りきれる」という自負があったという。支えになったのは長年、天候に左右されるスキー事業をやってきた経験だ。

 「コロナ禍のグランピングブームで湖北の豊かさを再認識できた。この地に感謝し、恩返ししていきたい」

(中村総一郎)

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