<阪神大震災24年>避難所環境 改善の動き

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県内の避難所運営の現状について話す藤岡教授(大津市で)
県内の避難所運営の現状について話す藤岡教授(大津市で)

 ◇国際基準参考 対策進む

 ◇熱中症、トイレ不足、プライバシー・・・

 ◇滋賀大大学院・藤岡教授に聞く

 仕切りのない体育館での雑魚寝、足りないトイレ……。17日で阪神大震災から24年を迎えたが、大規模災害が起きた時の避難所の光景は今もあまり変わらない。一方で、紛争地の難民キャンプなどでの人道的対応を定めた国際基準「スフィア基準」を参考に、避難所の環境改善を目指す動きもある。現状と課題を滋賀大学大学院の藤岡達也教授(防災教育)に聞いた。(生田ちひろ)

 ――近年の避難所の環境は?

 昨夏の西日本豪雨では猛暑の中、避難所の体育館などにエアコンが行き渡らず、熱中症リスクが指摘された。また、2016年の熊本地震などでも避難所でのストレスの蓄積や、トイレ不足などで水分を取らないことにより、エコノミー症候群が問題視されている。

 ――スフィア基準とは?

 アフリカの難民キャンプで関連死が多発したことから、国際赤十字などが1990年代後半に策定した。自然災害の被災者も含め、「尊厳ある生活への権利」を定め、衣食住などについて最低基準を決めている。「1人に必要な広さは3・5平方メートル」「トイレの設置は20人に1個」「快適な温度、新鮮な空気」などだ。

 ――国内で導入する動きは?

 内閣府が2016年に要配慮者への対応、トイレの必要数の把握などを定めた避難所運営ガイドラインで紹介し、全国的に配慮されるようになっている。しかし、備蓄量には限りがあり、災害規模によって結果的に基準を満たしたり、不足したりしているのが現状だ。

 阪神大震災では一つの体育館内で遺体安置所と避難所を併設していた。備蓄食もなく、支援物資もおにぎりやパンで、冷たく食べにくいものだった。04年の新潟県中越地震でも1人あたりのスペースは1平方メートル前後だった。07年の中越沖地震では改善されたように見えたが、東日本大震災では悲惨な状況に戻った。

 その後、非常食などに改善がみられ、段ボールベッドや仕切りなども導入され始めている。ただ、西日本豪雨ではスペースは改善されたが、着替えなどプライバシー確保の問題は変わっていない。

 ――県内の動きは?

 13年に全国初の大雨特別警報が発表されて以降、畳や座布団があり、体育館より快適な環境のコミュニティーセンター(公民館)を中心に据えた備蓄や防災訓練マニュアルの整備が進んでいる。特に、死者が出た栗東市では顕著だ。

 また、近江八幡市では地域の防災拠点を整備しようと、公民館と小学校を隣接するよう移転している。地域や公民館担当者と学校の連携が進み、ともに災害訓練などに取り組んでいる。県は昨年、障害者用も含めたトイレの十分な用意や廊下の幅員、プライバシーの確保など13項目のチェックシートを作成した。

 ――心がけることは?

 各自が地域の危険箇所を確認して避難訓練に参加し、家族で避難場所を決めておくなどの対策を取りたい。避難所となる学校と地域や自治会との連携も大切だ。自治体は他地域からの支援受け入れ態勢の構築や災害応援協定の締結なども進めたい。

 大災害が相次ぎ、避難所生活は無縁ではなくなった。一人ひとりが、避難所の設営、運営にも意識を向けたい。国際的なスフィア基準もある中、「非常時だから」ではすまない。避難所での暮らしは復興への原動力になるはずだ。

47021 0 ニュース 2019/01/18 05:00:00 2019/01/21 14:00:51 2019/01/21 14:00:51 資料を見せながら県内の避難所運営の現状について話す藤岡教授(大津市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190117-OYTNI50055-T.jpg?type=thumbnail

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