台風全壊の料亭 再出発

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客に料理を出しながら談笑する左嵜さん(大津市で)
客に料理を出しながら談笑する左嵜さん(大津市で)
店で提供される琵琶湖産のテナガエビの素揚げやふなずしなどの料理
店で提供される琵琶湖産のテナガエビの素揚げやふなずしなどの料理
被害を免れた遠藤周作直筆の掛け軸
被害を免れた遠藤周作直筆の掛け軸

 ◇高島「湖里庵」

 ◇月2回以上 店舗再建まで大津で営業

 昨年9月の台風21号で全壊した高島市の料亭「湖里庵こりあん」が18日、大津市の「商店街ホテル こう 大津百町」で営業を始めた。店舗再建までの期間限定で営業する予定だ。湖里庵を運営するふなずしの老舗「魚治」の7代目主人、左嵜さざき謙祐さん(42)は「湖魚の魅力を伝えるのが自分の仕事。琵琶湖の食材の底力を知ってほしい」と話している。(猪原章)

 琵琶湖畔にあった湖里庵は昨年9月4日の台風21号で屋根や壁が飛ばされ、全壊した。「あまりの被害の大きさに、最初はぼう然とした。目の前の色がなくなり、白黒の世界が広がっていた」。幸い、蔵と魚治本店にほとんど被害はなく、同業者や近隣の人にも助けてもらいながら、ふなずしの販売はすぐに再開できた。

 電気や通信などのインフラが復旧したのは台風から約2週間後。電話が通じない中、電報を送ってくる人もおり、「求めてくれる人がこんなにもいるんだ」と勇気づけられたという。

 昨年9月末、左嵜さんと親交のある食文化に詳しいジャーナリストの森枝卓士さん(63)は、Facebookで湖里庵の被害を知った。森枝さんは、雑誌の発行やホテルの運営を手がける「自遊人」(新潟県南魚沼市)の岩佐十良社長(51)が大津市でホテルを開業していたことを知っていたため、「ホテルで湖里庵を営業してもらってはどうか」と打診。岩佐社長は快諾し、左嵜さんに連絡を取った。10月末頃、左嵜さんはホテルを訪ねた。「環境は変わるが、自分の腕を上げて勝負したい」と覚悟を決めた。

 12月上旬、ホテルに関係者を集めて試食会を開いた。「やっぱりふなずしの味がしっかりしている」などと好評を博した。岩佐社長も「湖里庵復活の後押しができれば」とエールを送る。

 再出発を果たした今月18日、名付け親である作家遠藤周作直筆の「湖里庵」の掛け軸が飾られた店には、6人の客が訪れて湖国の美味を堪能した。左嵜さんはカウンター越しに「実は、話しながら料理するのが一番不安だったんですよ」とはにかんでいた。

 湖里庵が建っていた土地は現在更地になっているが、今春にも再建工事に着手する。左嵜さんは「復興まで時間がかかるが、かつての湖里庵のように愛される店を作り上げていきたい」と意気込んでいる。

     ◇

 ホテルで提供するのは、ふなずしや湖魚を使ったコース料理(税別1万3000円)。月2回以上営業し、火曜日以外であれば、6人以上で予約を随時受け付ける。ホテル宿泊客以外でも利用できる。問い合わせは、湖里庵(0740・28・1010)。

107825 0 ニュース 2019/01/23 05:00:00 2019/01/23 11:08:53 2019/01/23 11:08:53 客に料理を出しながら談笑する左嵜さん(大津市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190122-OYTNI50070-T.jpg?type=thumbnail

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