マスク晴れ姿 感謝と決意 県内市町で成人式
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学区ごと分散や短縮 同窓会など自粛促す
県内の多くの自治体で10日、成人式が行われた。新型コロナウイルスの影響で、各市町は、開催時間をずらしたり、会場を分散したりするなど感染防止策を徹底。参加者は皆マスク姿で、例年と大きく様変わりした〈晴れの日〉となった。(田上秀樹、松山春香)
彦根市は、ひこね市文化プラザのグランドホールで式を開催し、新成人860人が参加した。
市は、▽学区ごとに3部に分散▽座席は左右を3席、前後を1席ずつ空ける▽式典時間は例年の50分から各部とも30分に短縮――などの対策をとった。担当者は「一生に一度の機会なのできちんと祝ってあげたい。ただ、コロナ終息の見通しは立たず、来年以降の感染防止策を考える機会にもしたい」と話す。
午後0時30分開始の第2部では、マスクを着けた新成人が手を消毒し、サーマルカメラで検温して会場入りした。
実行委員の橋本まりんさん(20)が代表で「新型コロナの影響で生活が大きく変化した。以前の生活に戻りたいと思う時もあるが、どんな時でもその瞬間を楽しむ方法があることや、家族や友達との生活がかけがえのない時間であることを忘れずに前向きに過ごしていきたい」と述べた。
関西学院大2年森口知愛さん(20)は「式があるか心配だったが、実現してうれしい。大人の自覚を持って何事にも積極的にチャレンジしたい」と話した。
竜王町での式典には、新成人約100人が出席。町は会場を例年より広い町立竜王中学校体育館に変更し、椅子の間隔を1メートル空け、開催時間も来賓のあいさつを省くなどして1時間以上短縮した。会場で中学時代の給食をみんなで味わう恒例行事も取りやめ、袋詰めして持ち帰ってもらった。
式では、大学2年佐橋果南汰さん(20)が「大人として自覚と責任を持ち、社会と向き合っていきたい」と決意表明。新成人たちは、写真撮影を楽しんだり、中学卒業時に書いた作文を読んだりして旧交を温めた。
大学2年岡山健生さん(20)は「東京に住んでいる友人がコロナの影響で参加できなかったのは残念だが、各地で中止が相次ぐなか、開かれてよかった」と話した。
新成人 1万5284人
県によると、今年の新成人は1万5284人(男性7954人、女性7330人)で、昨年に比べて266人減っている。
当初は全市町が成人式を予定。しかし、全国的に感染が拡大し、県は5日、感染状況を示す独自区分を上から2番目の「警戒ステージ」に引き上げた。7日には東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県に緊急事態宣言が発令された。
感染状況の深刻化を受け、県は、成人式に関し、同窓会など式前後の会食の自粛を促し、首都圏からの参加は「特に注意を」と求めた。長浜市と甲良町は開催を延期。草津市など複数の自治体は、首都圏からの参加自粛を呼びかけた。
10日に開催した東近江市は、感染者が出た場合に連絡先を把握できるよう、案内状に印刷した2次元コードを使った事前申込制を導入するなど、各市町が対策に力を入れた。
11日は大津市など4市が開催を予定している。