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    禁煙外来病院で喫煙 対応甘さ、違反の温床

    • 職員らの喫煙が見つかった済生会江津総合病院の病棟裏口付近(江津市で)
      職員らの喫煙が見つかった済生会江津総合病院の病棟裏口付近(江津市で)

     禁煙外来を設ける江津市の済生会江津総合病院(中沢芳夫病院長、300床)の敷地内で職員らが日常的に喫煙していた問題が、波紋を広げている。塩崎厚生労働相は10月4日の記者会見で「ひと言で言えば、とんでもない」と述べ、厳正に対処する方針を示した。ルール違反の喫煙で診療報酬の返還に至った背景には、同病院の対応の甘さがあった。(岡信雄)

    ◇抜き打ち調査

     「あなたは職員ですね」。今年8月下旬、同病院の病棟北側屋外の一角。厚労省中国四国厚生局の職員が、複数の病院職員が喫煙する姿を確認し、そのうちの1人に声をかけた。「職員や患者が敷地内で日常的に喫煙している」という情報を基に行った調査だった。

     同病院によると、同局職員は当日、病院側に職員らが喫煙していた期間の特定を求めた。その上で、同局に禁煙治療の施設基準を満たしたと届け出た2012年以降、敷地内を全面禁煙にしたことで加算された「ニコチン依存症管理料」などの診療報酬を自主返還するよう指導した。同病院は、返還額が2000万円に上ると試算している。

    ◇苦情たびたび

     同病院は1955年、江津市役所近くで開設され、2006年6月、現在地に新築移転するとともに、約3万3000平方メートルの敷地内を全面禁煙にした。

     しかし、同病院にはこれまで、「敷地内で職員らが喫煙している」という苦情が、たびたび寄せられていた。その都度、職員が見回り、院内で注意喚起のメールを送って敷地内禁煙を呼び掛けたが、再び職員の誰かが喫煙するというイタチごっこに陥っていた。

     そうしたことの原因について、同病院の安食あじき治外はると・事務部長は「敷地内で喫煙をした職員に対し、強制力のある処分をしてこなかったことも一因だ」と振り返った。

     同局の指導を受け、同病院は返還する診療報酬を算定するため、いつから喫煙していたかについて、職員への聞き取りを実施した。詳細な対象者や質問項目は明らかにしていないが、喫煙者と推定される事務職員を対象とし、医師や看護師らは対象外にしたという。

     安食部長は「確かに甘い対応だったかもしれない。今後は、誰が喫煙者か非喫煙者か、把握も必要だろう。職員が一丸となって信頼回復に取り組みたい」と話した。

    ◇近隣病院の対策

     広島県福山市の寺岡記念病院(263床)は10月12日、職員が全面禁煙の病院敷地内で喫煙をしていたとして、江津総合病院と同様、診療報酬を返還する意向を明らかにした。

     厚労省の14年10月時点の調査で、敷地内を全面禁煙にしている全国の病院は、全体の51・2%にあたる4351施設。全体の28・4%の2410施設が禁煙外来を設けている。

     禁煙外来はないが、浜田市の国立病院機構浜田医療センターも敷地内は全面禁煙。江津総合病院の問題発覚後、職員が各部署を回って禁煙の徹底を呼びかけた。

     かつて、病院のトイレ内でたばこの臭いがするとクレームがあったという。現在、愛煙家の職員らは、敷地外の灰皿の周りで紫煙をくゆらしている。

     管理課の加賀敬一課長は「患者や出入りの業者を含めてマナーを守って吸っていただくため、今後は敷地内の見回りを強化する」と話した。

     島根県県立病院課も問題発覚後、県立中央病院(出雲市)に対し、敷地内禁煙の徹底を通知した。

    2016年11月04日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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