住民目線 島に意識改革

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任期最後の経営会議で、管理職と話し合う山内氏(左から3人目、海士町役場で)
任期最後の経営会議で、管理職と話し合う山内氏(左から3人目、海士町役場で)

 ◇山内・海士町政の16年<上>

 ◇自ら給与削減 職員に波及

 離島の海士町(中ノ島)を地方創生の旗頭に変えた山内道雄氏(80)が5月30日、町長を退任した。全国からU・Iターン者を受け入れ、島の資源を生かして産業振興を図る「攻め」と、町職員の給与カットなどで財政を引き締める「守り」で走り抜けた4期16年。苦労を共にした前町地産地商課長の大江和彦氏(58)が新町長として町政を引き継いだ。山内氏の16年間の歩みを追った。(佐藤祐理)

 海士町で生まれ育った山内氏は、民間企業や町議などを経て2002年5月、元町助役との選挙戦を制して町長に初当選した。

 「役場は住民総合サービス株式会社で、住民はお客様だという視点で仕事を」。1期目の就任式でそう呼びかけ、職員の意識改革に取り組んだ。住民に対する「上から目線」な態度を変えることが先決だった。

 持論は「トップが変われば職員も変わる。職員が変われば役場が変わり、役場が変われば住民が変わる」。

 年功序列を廃止し、昇進には課長らの推薦を参考にする制度を導入し、「頑張る人に報いる」方式に変えたほか、毎週木曜の午後5時15分から、課長級以上の管理職が町政を議論する「経営会議」を始めた。「動かないのは一番駄目。職員には『役場には評論家はいらない』と言い続けた」と振り返る。

 全国で平成の大合併が進む中、就任直後から西ノ島町(西ノ島)、知夫村(知夫里島)とともに合併に向けた協議を進めたが、合併により町役場が支所になれば、地域が廃れる懸念が消えなかった。島ごとに文化や住民の気質も違う。

 合併や町政に関する説明会で各地を回ると、住民から「お前ら(町職員)ならやれる。応援するから合併しなくてもいい」という声があがり、単独町政の継続を決めた。「自分たちの島は自分たちで切り開かなければならない。あの時、合併していたら、三つの島は沈んでいた」と振り返る。

 三位一体改革では、町税にも匹敵する約2億円もの地方交付税が削減され、そのままでは財政再建団体になりかねなかった。

 すでに給与を5%カットしていた山内氏は04年3月、30%カットを宣言。管理職も「自分たちもついていかせてほしい」と申しでて、管理職は20%減になり、その後全職員の給与を削減した。

 05年度には町長の給与を半額にするなど職員の平均カット率は22%に。国家公務員の給与と比較したラスパイレス指数は72・4で、全国で最も給与の低い公務員になった。

 当時、総務課長だった美濃芳樹氏(62)は、「事業を減らせば住民は迷惑する。大学生の子どもへの仕送りを抱えていたが、人件費に斬り込まなければ、進まないと感じた」と語る。

 町職員の変化に補助金を返納する団体も現れた。守りの姿勢で捻出した財源は、結婚や出産時に祝い金を贈る子育て事業や産業振興策に充てた。財政規模に対する借金返済額の割合を示す実質公債費比率は05年度以降20%前後だったが、16年度には8・7%になった。

 「昔のトップは補助金をもらってくることが仕事だった。これからは稼ぐ行政にならなければ持続性はない」と山内氏は力を込める。住民総合サービス株式会社としての基盤は年々、強固になった。

無断転載禁止
26862 0 NEWS EYE 2018/06/22 05:00:00 2018/06/22 05:00:00 町長在任中の最後の経営会議で、職員の育成について助言する山内氏(左から3人目)(海士町役場で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180621-OYTAI50010-T.jpg?type=thumbnail

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