若者Iターン 島に新風

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退任式で職員らに感謝の思いを伝える山内氏(海士町役場で)
退任式で職員らに感謝の思いを伝える山内氏(海士町役場で)

 ◇山内・海士町政の16年<下>

 ◇特産品開発 ブランド化

 隠岐牛にシロイカ、岩ガキ――。前海士町長の山内道雄氏(80)の任期中、島に根付く漁業や農業から産業を創出して島外から外貨を獲得する「攻め」の施策で世に出た特産品だ。実現したのは町民や町職員だけでなく、島に新たな風を送り込んだ若いIターン者たちでもあった。山内氏は「まちづくりは人づくり」と語る。(佐藤祐理)

 「産業が芽生えたことが大きかった」。山内氏は4期16年の施策を振り返ってそう言う。とはいえ、当初は町のキャッチフレーズ「ないものはない」が象徴する「足元を見る」ということができていなかったという。

 島の資源を使った製品を考える「商品開発研修生」を受け入れたことが、島に自生するクロモジの葉などを使った「ふくぎ茶」の開発などにつながった。

 生きた魚介類を瞬間冷凍する技術「CAS(セル・アライブ・システム)」を導入し、シロイカや岩ガキなどを島外に出荷。隠岐牛や岩ガキなどは町を代表するブランド品になった。

 町には2004年度から17年2月までに、384世帯566人のIターン者が移住。40歳代以下の若者が中心で、約半数が定着している。

 なぜ増えたのか。山内氏が移住者に島に来た理由を尋ねると、「人が魅力的だし、何かできそうだし、町長が何かやらせてくれそうだから」と答えたという。山内氏は「この島に仕事をつくりに来ているような言い方」と話す。

 実際、県立隠岐島前高の生徒らを支える公営塾「隠岐国学習センター」のセンター長や講師陣、島民を講師に企業研修などを受け入れる「めぐり」を始めた県外からのIターン者が、新たなIターン者を呼び込むようになった。

 当初、よそ者に冷たく「いつ帰るのか」と言っていた住民たちも、本気で島のために働いている移住者を理解しはじめ、受け入れる姿勢が変わった。

 「Iターンが入り、新しい風が吹いてきたことは、海士の大きな力の一つ」と山内氏は話す。山内氏自身、「本気で頑張れ。本気で頑張る人には応援する」と励ましてきた。

 少子化や、生徒が島外に進学するため存続の危機にあった隠岐島前高の魅力アップを図り、「島の未来」を育てる生徒づくりに注力。一方で「島留学」で全国から集まった新入生は、この10年で13倍超の27人になった。

 退任した今、山内氏は「Iターン者の心の支えになりたい」と話す。背景には、町生まれの山内氏自身も「Iターンの子」で幼い頃、島に親類がおらずさみしかった経験がある。両親は鳥取県琴浦町出身で、子どもながらに「行くところがないな」と心細かった。

 「海士町で自慢できることは何ですか?」。講演でそう問われると「人」と答えるようになった。「ものづくり×人づくり=持続可能な海士町」と語ってきた山内氏。町政に「やり残したことはない」と語る一方、「現状の延長では持続可能な未来はない」という。

 元町地産地商課長の大江和彦新町長(58)は町政改革に16年間、携わってきた。「彼だったらやってくれる」とエールを送る。

無断転載禁止
27237 0 NEWS EYE 2018/06/23 05:00:00 2018/06/23 05:00:00 町長退任式で一緒に汗を流した職員らに、色紙を手に感謝の思いを伝える山内氏(海士町役場で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180622-OYTAI50003-T.jpg?type=thumbnail

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