断トツの脂 とろける食感・・・浜田のマアジ

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朝に水揚げされたマアジの脂質を測定する渡辺さん(浜田市の浜田漁港で)
朝に水揚げされたマアジの脂質を測定する渡辺さん(浜田市の浜田漁港で)
浜田漁港で水揚げされたマアジの刺し身、フライ、海鮮丼
浜田漁港で水揚げされたマアジの刺し身、フライ、海鮮丼

 ◇生、焼き、揚げ どれも良し

 うろこがうっすら黄金色に輝く。2月中旬朝の浜田漁港(浜田市)。巻き網漁船から水揚げされたばかりのマアジが入ったコンテナが並ぶ。裕丸漁業生産組合専務理事の渡辺祐二さん(62)が1匹を取り上げ、魚体に脂質測定器を当てた。

 脂質含有量11.3%。4~9月のシーズン中ならブランド魚「どんちっちアジ」(平均脂質10%以上、重さ50グラム以上)に認定できる。

 「10%を超えると、うまみがグッと増す。一口食べると、脂がのってうまいとわかる」。年間1万匹以上のアジに触れ、その厚みや身の張り具合から約8割は測定器とほぼ同じ数値を言い当てる「ゴッドハンド」を持つ渡辺さんは胸を張る。

 一般的なアジなら旬に3.5%程度だが、県西部沖で漁獲されるマアジは10%以上、時には15%もみつかるという。

 アジの魚介名は、19世紀後半の山陰の漁業を示した資料「出雲石見魚漁図解」に登場する。県水産技術センターの清川智之さん(53)は「沿岸で取れるアジは、それ以前から食べられていたことは間違いない」という。

 浜田市水産業振興協会によると、県内最大の漁獲量を誇る浜田漁港では、1990年にピークの約19万8000トンとなり、このうちイワシが9割近くを占めた。その後、イワシが減少してアジが増える「魚種交替こうたい」が起き、2017年はアジが全体の33%、マイワシは0.2%にとどまっている。

 浜田市のマアジのブランド化は、漁獲割合が高まってきた02年、漁業や仲買の団体などが市水産物ブランド化戦略会議を設立して始まった。

 当時、マアジは脂ののりには定評があり、県外で干物などに加工されていた。漁獲量も減少傾向で、ノドグロなどとともにブランド化することで単価を上げる必要があった。

 清川さんは浜田のマアジを「歯ごたえのある関アジとは違った軟らかさがある」と解説する。海流に乗って回遊し、山陰沖で動物性のプランクトンをたくさん食べることで脂質含有量が増えるとみている。

 浜田漁港そばの浜田市公設水産物仲買売場にある渡辺鮮魚店のベテラン仲買人、栂野とがの恭範さん(49)も、浜田のマアジに魅せられた一人だ。「刺し身で良し、塩焼きで良し。白っぽく霜が降った身は、とろける食感」という。

 「ゴマ油で風味を付けたユッケもいい。まだシーズンには早くて身は硬いけど、うまいんだ、これが」と威勢のいい口上で、その日朝に競り落としたマアジを薦めてくれた。

 1匹約300グラムを3匹。仲買売場2階の食堂「めし処ぐっさん」で、店主の山口隆さん(41)に頼んで、特別に一押しのフライ、刺し身、ユッケを作ってもらった。「浜田のアジは違うなあって、県外から訪れた食通もうなるんです」という。

 切り身にゴマ油としょうゆを混ぜたたれと卵黄を絡めて食べる「海鮮丼ユッケ」は、地元の弥栄米の白飯と相まって食感が楽しい。170度の油で揚げるフライは、サクサクの衣に包まれた白身が口の中にふわっと広がる。刺し身をしょうゆに浸すと、さっと脂分が浮いて広がった。

 「お客さんには、自分がいいと思う魚を食べてもらうことを心がけている」と、山口さん。ブランドではない無冠のマアジに、青魚のイメージが覆された。石見神楽のおはやしに、その名の由来がある「どんちっちアジ」が旬を迎える春が待ち遠しい。(岡信雄)

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9014 0 食彩記 2018/02/25 05:00:00 2018/02/25 05:00:00 浜田漁港で朝に水揚げされたマアジの脂質を測定する渡辺さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180224-OYTAI50035-1.jpg?type=thumbnail

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