大粒 みずみずしい甘み・・・出雲のデラウェア

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デラウェアを収穫する石橋さん(出雲市浜町で)
デラウェアを収穫する石橋さん(出雲市浜町で)
島根ワイナリーが醸造、販売する「早摘みデラウェア」
島根ワイナリーが醸造、販売する「早摘みデラウェア」

 ◇すっきり白ワイン 高評価

 出雲市浜町にあるブドウ栽培のビニールハウス。1歩入ると、ふわりと湿った暖かい空気に包まれた。高さ1・5メートルのブドウ棚を覆う葉とつるに遮られたやわらかな光が、濃い紫色の果実「デラウェア」を照らす。

 「小さい頃は、トウモロコシみたいにかじっていたよ」。父から畑を受け継いで約14年になる石橋貢さん(61)が言う。「以前は、粒が小さく密集していて一粒ずつ取るとつぶれてしまったからね。一気にかじって、皮はペッと出したが、最近の実は変わってきたよ」

 県農業協同組合によると、今年の県内におけるデラウェアのハウス栽培面積は約110ヘクタールで、日本で最も広いという。うち約90ヘクタールはJAしまね出雲地区本部管内だ。

 島根県のブドウ栽培は、江戸時代末期、今の浜田市下府町で「甲州ブドウ」を植えつけたのが始まりとされている。しかし、雨が多い山陰地方では、病気になりやすいうえ、水分が多すぎて、果実が成長しすぎて皮が裂ける「裂果」に悩まされた。そこで「甲州ブドウ」よりも病気に強く、育てやすいとされるデラウェアの栽培が増えていった。

 さらに1960年代から同組合が始めたのが、ハウス栽培だった。現在の出雲市大社町あたりで試験的に栽培されたデラウェアは、通常より早く出荷できたこともあり、それまでの4倍の値がついた。そのため、一気にハウス栽培の機運が高まった。また、大社町や浜町周辺の砂丘地では早く酸抜けして甘くなるため、ほかの地域より出荷が早く、価値も上がっていった。

 2012年からは「大粒・ゆる房」に取り組んできた。

 「小さい粒が密集していて食べづらい」という声を受け、種をなくすジベレリン処理の時期を早めることでブドウの房を長くし、加えて実を丁寧に間引くようにした。すると、隙間ができて粒が取りやすくなるとともに、一つひとつの実も大きく張るようになったという。

 それまでは1キロあたり1000円を割ることもあった単価は少しずつ上がり、昨年は過去最高の1270円となった。

 石橋さんが摘み取ったブドウはずっしりとして、粒が光っていた。一粒取って皮から押し出すように口に入れると、みずみずしさがはじける。さわやかな酸味と、その後に残る甘みが心地よい。

 取材したのは出荷のピークである6月中旬を過ぎていたが、シーズンが終わる時期の方が甘みは強いという。「最近はシャインマスカットを好む人も多いけど、みずみずしさではデラウェアの方が上。少し冷やしてそのまま食べるのが一番おいしい」と石橋さんは笑った。

 県内産のデラウェアを使ったワインを醸造、販売しているのは、出雲市大社町の島根ワイナリーだ。

 人気の白ワイン「早摘みデラウェア」は、完熟する前の実を使用。すっきりとした味で、国産ワインの品評会「第7回日本で飲もう最高のワイン」の白ワイン甘口部門で、最高のプラチナ賞など三つの賞に輝いた。

 JAしまね出雲地区本部管内ではブドウ農家の高齢化などにより、20年前と比べて生産者、収穫量がともに半減しているという。ハウスでの加温栽培に必要な燃料価格の高騰など課題もある。

 それでも「島根ぶどう」ブランドを背負う、デラウェアに対する石橋さんの気概は衰えない。「ブドウの木は人間と同じ。若い方がたくさん実をつける」と、植えて20年以上たった老木を若木に植え替えるだけでなく、土を調べて足りない成分を堆肥たいひで補うなど土壌の管理も怠らない。常に前へ進もうとする姿勢に変わりはない。(平野真由)

無断転載禁止
28459 0 食彩記 2018/07/01 05:00:00 2019/01/16 11:54:58 石橋さんとデラウェア https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180630-OYTAI50003-T.jpg?type=thumbnail

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