秋風に揺れ甘みぎゅっ・・・松江の干し柿

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風通しの良い場所につるされる西条柿(松江市東出雲町で)
風通しの良い場所につるされる西条柿(松江市東出雲町で)
(右上から時計回りに)干し柿、大根の酢の物、ウズラ卵を入れた揚げ物
(右上から時計回りに)干し柿、大根の酢の物、ウズラ卵を入れた揚げ物

 ◇ウズラ卵揚げ、酢の物でも

 さおにつるされた数百個の朱色の柿が、秋風に揺れる。干し柿作りが最盛期を迎えた今月中旬、産地として知られる松江市東出雲町の「まる福農園」を訪ねた。

 渋柿の一種「西条柿」を作る畑に一歩踏み入れると足が少し沈んだ。「ふっかふかでしょう。おいしい干し柿は土作りからだからね」。同農園代表の福岡博義さん(75)が言う。

 柿の木450本が育つ約1ヘクタールの畑には、近くの農家で飼う和牛の堆肥たいひ約48トンや米ぬか約5トンがまかれている。「栄養をしっかりやれば、大きな実をつけ、甘い干し柿になる」と福岡さんは胸をはる。

 島根は、日本有数の西条柿の産地だ。県農産園芸課によると、2016年の県内での西条柿の栽培面積は135・3ヘクタールで、全国の約4割を占める。糖度は高いが渋味があるため、干し柿などに加工される。17年は県内から干し柿56トンが出荷された。

 干し柿には、軟らかくて水分量の多い「あんぽ柿」と、十分乾燥させ、糖分が白く表面ににじみ出た「枯露ころ柿」の2種類がある。同課によると、枯露柿はあんぽ柿より乾燥期間が長く、湿度が高いとカビが生えるため、風通しのよい場所でしか作れないという。同課の島津欣央リーダーは「県内の枯露柿のほとんどが、適度な風のあたる東出雲町で作られている」と言う。

 同農園での収穫は毎年10月下旬頃に始まる。柿の成熟具合を見て摘み取り、一つずつ手にとってピーラーで皮をむく。「西条柿は表面に4本の溝があるから、機械だとはぎ残しがでるのよ」。手際よく皮をむいていた加藤百合子さん(66)が教えてくれた。

 皮をむいた柿は10個ずつひもでつるし、風通しのよい建物の中で1週間~10日ほど乾燥させる。その後、エチレンガスを出す稲わらで寝かせたり、室温約20度で乾燥させたりする作業を2週間ほど続けると、徐々に渋味成分「タンニン」が変化し、渋さを感じなくなっていくという。薄黄色くぽってりとしていた柿が、濃いあめ色になると完成だ。

 福岡さんは「干している柿に何かが当たると、タンニンが固まって色が黒くなる」と言い、作業には細心の注意を払う。

 同農園では、例年7万~8万個を収穫して5万個を干し柿にしている。今夏は暑さが厳しく、熟柿じゅくしとなって落下する被害が相次いだため、収穫量は3割減だというが、4万個を干し柿として出荷する見込みだ。

 収穫からほぼ1か月かけて出来た干し柿を一口かむと、凝縮された甘みが口中に広がった。「この地域ではお正月のおせち料理に、ゆで卵を入れた干し柿の揚げ物を入れるのよ」。福岡さんの妻、幸枝さん(72)が教えてくれた。

 「ウズラの卵を入れるとかわいいわよ」という言葉に誘われ、自宅で作ってみた。へたを落とした干し柿の中に、ゆでたウズラの卵を入れて小麦粉をまぶし、180度に熱した油でサッと揚げる。香ばしくて、干し柿のねっとりとした甘さが苦手な人でもおやつ感覚で食べられそうだ。

 酢の物には砂糖代わりに使うと聞き、大根の酢の物に細かく刻んだ干し柿を入れてみた。大根のしゃきしゃきとした食感に上品な甘みが加わり絶妙だ。

 同農園では2月頃まで干し柿の出荷作業が続く。福岡さんは「柿は健康食。自然の味を楽しんでほしい」と話している。(中瀬有紀)

無断転載禁止
49989 0 食彩記 2018/11/18 05:00:00 2018/11/18 05:00:00 風通しの良い場所でつるされる西条柿。実の水分が抜けてだんだんと小さくなっていく(松江市東出雲町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181117-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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