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東京で販売する弁当の試作品について話し合う景山さん(左)と三島さん(松江市平成町で)
東京で販売する弁当の試作品について話し合う景山さん(左)と三島さん(松江市平成町で)

◇不昧公のDNA<3>

◇「茶会記」基に地元食材で弁当

 

 日本海産のアゴ(トビウオ)の磯辺揚げ、県内産のコンニャクや里芋、シイタケの煮付けに宍道湖のシジミ入り卵焼き――。松江市平成町の弁当仕出し業「一文字家」の一室に25日、「創作『不昧ふまい公縁高弁当』」の試作品が並んだ。

 松平松江藩7代目藩主の松平治郷はるさと(不昧公)の没後200年祭を機に、ゆかりの食文化を伝えようと5月に東京・日本橋三越本店で催される島根の名産品フェアで提供されるという。

 「食通だった不昧公の時代から残る食材をいかしつつ、現代の調理法や調味料でおいしいものを提供したい」。同社社長の景山直観さん(56)は力を込める。

 「茶を立て道具求めて蕎麦そばう、庭を作りて月花を見ん、この外望みなし、一笑々々」。不昧公は晩年、そんな墨書を残したほど、そば好きとされる。古典落語「目黒のさんま」に登場する殿様は不昧公がモデルともいわれるほか、茶会では旬の食材で客を楽しませたという。

 そんな不昧公が健在なら、どんな料理を食べてもらいたいか。旅館や和食店など12社でつくる「松江郷土料理研究会」は今年2月、そんなコンセプトで弁当のメニュー作りに挑戦した。

 各社の若手板前らは昨年11月、「目黒のさんま」の落語を聞き、幕あいにはサンマの握りずしを食べてイメージをふくらませた。不昧公の「茶会記」を通して、タイやからすみなどの食材が使われたことを学んだ上で、1社1品ずつ考案した「不昧公さんに食べていただきたい縁高弁当」を創作した。

 たらの芽天ぷら、かに小袖巻き、島根和牛の文銭焼と合鴨の芹巻き。フォアグラ茶ソバ巻きもある。

 タイの昆布じめを提案した三島和己さん(32)は、「次の料理を壊さない味つけと素材を生かすよう意識した」と話す。不昧公のことをあまり知らなかったが、茶会記などを学び、「お客さんの舌の感覚、どう思うかまでを意識して料理することの大切さに気づいた」と語る。

 ただ没後200年で松江郷土料理研究会が目指すのは、不昧公が食した料理の復刻ではない。景山さんはいう。「不昧公がいたからこそ松江の食文化は守られてきた。郷土料理の上に積み重なってきたものを僕たちが塗り替えて次に伝えていかないといけない」

 不昧公は「客の心になりて亭主せよ」との言葉を残した。地元料理をさらにおいしくと願う料理人に、確かに継承されている。

◇食の逸話 数多く

 不昧公の食にまつわる逸話は多い。「スズキの奉書焼き」は、漁師が魚を焼いて食べているのを見た不昧公が所望。そのままでは恐れ多いと、奉書(和紙)に包んで蒸し焼きにして献上したところ、喜んで食べたと伝わる。

 そば好きでタカ狩りの際も、重箱に入れて野外で食べたことが、三段重ねの割子そばの由来ともいわれる。

 茶会記に記した懐石について、松江歴史館の藤間寛学芸専門監は「十六島うっぷるいのりや、出雲で正月に食べられた海藻を指す『神馬藻じんばそう』も使っており興味深い」と指摘する。

無断転載禁止
18716 0 Shimaneの今 2018/04/29 05:00:00 2018/04/29 05:00:00 東京の百貨店で販売する不昧公にちなんだ縁高弁当を考える景山さん(左)と三島さん(松江市平成町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180428-OYTAI50003-T.jpg?type=thumbnail

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