遊び心で茶文化伝える

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 ◇不昧公のDNA<4>

 ◇抹茶割りのお酒やラテ提供

 松平松江藩7代藩主、松平治郷はるさと不昧ふまい公)の没後200年を機に、不昧公が残した茶文化を新たな形で発信する動きが広がっている。

日本茶スタンドで抹茶ラテを作る加島さん(松江市西茶町で)
日本茶スタンドで抹茶ラテを作る加島さん(松江市西茶町で)

 マカロン、ハニー。といっても洋菓子ではない。松江市玉湯町、玉造温泉の土産物店「八百万やおよろずマーケット」に並ぶ抹茶ラテ用茶わんの名前だ。

 ピンクや水色の5種類で、商品名は「Matsue Chatte(マツエ チャッテ)」。「作法のいらない『何ちゃって』の意味も込めました」。同店代表の河野美知さん(40)は笑う。

 京都市出身の河野さんは、松江市のテレビ局に就職して1年目、取材先の高齢者宅で電気ポットの湯でたてた抹茶を出されて驚いた。作法にこだわらず、今も抹茶を飲む習慣が根付いていたからだ。

 没後200年の新商品企画にあたり、ある職人から「その時代の人に使われてこそ初めて伝統になる」と聞いたのを思い出した。「遊び心を加えて今風にした方が伝統を伝えられるかもしれない」。そう感じて、市内の窯元の若手陶芸家らとともに、抹茶ラテ用茶碗と、洗剤で洗える樹脂製の茶せんを開発した。若い女性客が「かわいい」と声を上げ、購入していくという。

 河野さんは「どうしたら豊かな暮らしにつながるかを考えた不昧さんは今で言うプロデューサー。現代に生きていたら『それ、面白いんじゃない』って言ってくれる気がする」と話す。

 不昧公が名付けた抹茶「中之白」を使った3種類のお酒「松江割り」を提供しているのは、松江市東本町のダイニングバー「粋都すいーと」だ。片口茶碗でたてた抹茶を客に渡し、ビールやハイボール、焼酎に注いでもらう。

 「お茶で味わいがさわやかになるね」。緑色に染まったグラスを手にした客との会話も弾む。マネジャーの三島大樹さん(40)は「抹茶を飲む習慣のない若者や外国人らが酒を通じて茶に触れることで松江の思い出になれば」と期待する。

 創業127年の加島茶舗(松江市西茶町)では、茶師七段の加島浩介さん(33)が抹茶ラテや抹茶ビールのテイクアウトもできる「日本茶スタンド」を開いている。

 店は、松江城の築城に関わった人に茶が振る舞われたとされる付近にあり、城も宍道湖も徒歩数分の距離だ。「観光客にはお茶で一息ついてもらいたい。不昧公のおかげで根づいた松江の茶文化に恥じないお茶をたてたい」と話す。

 「時世のうつりゆきをわきまえず、一と所にあしをとめて移行を知らないものは生涯のへたと申すべき也」。茶道を究めた不昧公は、自著「茶湯心得」にそう記した。先達から学び、時代の風を感じて常に前へ。松江の人たちの手本は今も不昧公だ。

 ◇功績評価し人物像広めて

 不昧公の没後200年をどう生かすべきだろうか。松江観光協会の高橋一清・観光文化プロデューサー(73)に聞いた。

 松江の人は、不昧公の恩恵にあずかってきたことをよく知っている。茶道具収集にうつつを抜かしたとの見方が広まっているが、研究が進み、実は殖産興業で藩財政を立て直し、茶道具の逸品を散逸から守った功績が明らかになってきた。同時代を生きた上杉鷹山は、不昧公と同じ年頃で米沢藩(山形県)を継ぎ、藩政改革に努めたとして知られる。それは、新渡戸稲造や藤沢周平などが書物で紹介したから。不昧公もきちんと評価して小説で語られるくらいに広めなければいけない。

 没後200年祭を機に、茶道にとどまらずいろんな面に目を向けて、新しい不昧像を織り上げていきたい。(聞き手・中筋夏樹)

無断転載禁止
18751 0 Shimaneの今 2018/04/30 05:00:00 2018/04/30 05:00:00 加島茶舗の日本茶スタンドで抹茶ラテを作る加島さん(松江市西茶町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180429-OYTAI50005-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
800円650円
NEW
参考画像
ご宿泊のお客様にコーヒー1杯サービス
NEW
参考画像
2000円1800円
NEW
参考画像
1100円550円
NEW
参考画像
790円720円

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ