<開港25年 石見空港>1 利用促進へ蜂蜜で誘う

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巣枠を引き上げ、「これからどんどん採れますよ」と話す本橋さん(中央)(益田市で)
巣枠を引き上げ、「これからどんどん採れますよ」と話す本橋さん(中央)(益田市で)

 ◇高評価の味 知名度上昇

 石見空港の滑走路を望む草原に、赤や黄、青などに塗られた蜜蜂の巣箱が並ぶ。蜂が飛び交う中、空港を管理する「石見空港ターミナルビル」(益田市)の前社長本橋春彦さん(60)は白ずくめの作業着姿で、巣箱から取り出した巣枠に取り付いた蜂たちをはけでそっと払った。「〈従業員〉ですから優しくしないと」。働き者の従業員たちが集めた蜜の詰まった巣枠を見て目を細めた。

 石見空港では2016年、全国の空港で初めて養蜂事業が始まった。知名度を上げ、開港以来の課題である利用促進を図り、地域活性化につなげるのが狙いだ。

■開港以来の懸案

 石見空港は県が設置、管理する県内3番目の空港として1993年7月2日に開港した。県の建設構想発表から20年。総事業費225億円をかけて誕生し、2000メートルの滑走路を備える。既存の空港や新幹線への連絡が悪い県西部や山口県北東部の「交通空白地帯」を解消し、だれもが高速交通を利用できる定住環境をつくりだすのが狙いだった。

 だが利用状況は厳しい。羽田、大阪両便ともに1日1往復でスタートし、97年には羽田便が1日2往復に増えたが、2002年には減便。14年3月には2往復に復活した。大阪便も今では夏季の期間限定運航が続く。

 空港存続のため、利用促進、搭乗率のアップは開港以来の懸案だ。

■一か八か

 「海外の空港で行われている養蜂事業をやらないか」。東京のビルの屋上で養蜂事業を行う「銀座ミツバチ」は15年、全日本空輸の関連会社「ANA総合研究所」にそう声をかけた。国土交通省の羽田便発着枠の政策コンテストで2往復化された翌年のことだ。

 石見空港を訪れた銀座ミツバチのメンバーは「蜜がとれそう」と可能性を示唆。銀座ミツバチから話を聞いた広島県神石高原町のNPO法人「nina神石高原」が事業を提案し、16年4月、石見空港では巣箱10箱(約20万匹)からスタートした。

 当初のメンバーは素人ばかりの5人ほど。nina神石高原から技術指導を受け、試行錯誤した。蜜蜂の行動半径は約2キロ。周辺には山林や県立万葉公園などがあり、ニセアカシア、栗、桜、ナノハナなどの蜜源に恵まれている。

 初年の蜂蜜採取量は約300キロだったが、翌年には巣箱を32個に増やして約620キロ。今年は、空港や周辺の計3か所に計48箱を設置して800キロを見込む。

 昨年は、市販の蜂蜜が対象のコンテスト「ハニー・オブ・ザ・イヤー」で、国産部門最高賞の最優秀賞と、国内外の市販の蜂蜜を集めた「はちみつフェスタ2017」での「来場者特別賞」のダブル受賞を果たした。

 6月20日に今季分の販売を開始すると、オンラインショップでは3日間で277個の発注を受けた。3か月で約160個だった昨年を上回るペースだ。しかも注文の6割以上が東京や神奈川など県外からだった。

 空港はちみつで羽田便の利用客増をと、官民でつくる萩・石見空港利用拡大促進協議会は今夏、同空港の養蜂場見学や採蜜体験を企画した。本橋さんは「空港の知名度は上がった。利用促進はこれから」と話す。

 ◇需要見込み外れる

 県は開港前、旅行需要の高まりで飛行機の利用が増え、開港2年後の1995年度の利用者を43万2000人と見込んでいたが、実際はその3割強の13万5962人だった。

 その後も、2000年度が見込みの29%で14万6980人、05年度は同14%の8万931人と大きく下回った。17年度までの利用者は279万892人にのぼるが、搭乗率が60%を超えたのは13、17年度の2回だけだ。

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27535 0 shimaneの今 2018/06/27 05:00:00 2019/01/16 11:35:05 巣枠を引き上げ、「これからどんどん採れますよ」と話す本橋さん(中央)(益田市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180626-OYTAI50007-T.jpg?type=thumbnail

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