<開港25年石見空港>3 医師確保の武器に

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グラントワで開かれた講座でバレエの歴史を語る岩永さん。「公演先までの交通手段は重要なポイント」と言う(益田市で)
グラントワで開かれた講座でバレエの歴史を語る岩永さん。「公演先までの交通手段は重要なポイント」と言う(益田市で)

 ◇東京の病院から週末派遣

 高速道路や新幹線などの交通網の整備が遅れた県西部にとって、石見空港(益田市)は首都圏につながる貴重な空の玄関口だ。その恩恵にあずかるのは、観光やビジネスの分野ばかりではない。

■地域医療支える

 医師不足が深刻化する地方の病院にとって、空港の存在が医師確保のための〈武器〉になった。

 益田市の益田地域医療センター医師会病院(343床)では、2012年に19人いた常勤医が、17年には11人に減った。地域の人口減を背景に、医師が都会や大学へと流出するためだ。

 一方、救急指定病院として、常勤医の数にかかわらず、週末の救急患者らに対応する当直医を配置する必要がある。しかし医師不足はどこも深刻で、島根大医学部(出雲市)から安定して派遣してもらえるめどが立たないのが実情だ。

 「医師会病院の勤務医や会員医師のつてを頼りに、大阪や福岡、東京などへ足を運んで、当直医の派遣を要請するが移動時間がネックになる」。狩野稔久院長(63)は言う。

 同学部から医師会病院までは車で2時間半。狩野院長は、東京から石見空港まで飛行機で1時間半、空港から車で約15分という意外な時間距離の短さが医師派遣を検討するきっかけになるという。

 実際、東京都内の病院から15年以降1、2か月に1回、多い時は医師2人、現在は1人が週末に派遣されている。

 狩野院長は「常勤医の当直回数が増えれば、なし崩し的に医師の確保が難しくなる。医師の応援を得たり、職員研修の講師を呼んだり、研修に参加させたりするために空港は欠かせない」と言う。

■文化を創る

 益田市の県芸術文化センター・グラントワで今月23日、音楽、演劇、ダンス、映像など様々な芸術文化の入門講座「グラントワアートサロン」が開講した。

 初回の講師は東京バレエ団(東京都)の岩永智博営業部長(45)だ。グラントワで7月6日、同バレエ団が「白鳥の湖」を上演するのに先駆け、約50人を前に午後2時から1時間半にわたり、クラシックバレエの歴史や、同バレエ団の特長を解説。公演の見所を伝えた。

 同講座は講師の来館にあわせ随時開く。グラントワの若槻真治・劇場館長(61)は、「(企画の打ち合わせなどのために)様々な人に来てもらうが、そのまま帰ってもらうのは惜しい。この講座でアートの世界への扉を開いてほしい」と語る。

 岩永氏はこの日、正午過ぎに石見空港に到着。講演をこなして午後5時45分発の羽田便で帰路についた。空港からグラントワまで車で15分という立地だからこそ可能なスケジュールだ。

 若槻館長は、展覧会や舞台公演などの企画により、「地方にいても都会と同様の刺激を受けられ、創造性、鑑賞力を高められる」という。展覧会や公演の実現には、首都圏の関係者の来館が不可欠で、若槻館長は、「空港がなければ成り立たない」と首都圏との「時間距離」をちぢめてくれる石見空港の意義を強調する。

 ◇首都圏大学の実習促進

 過疎化が進む一方、簡単に増やせない定住人口。そこで自治体が進めている「都市間交流」に、空港の利用促進を絡める動きが出ている。

 益田市などは、大正大や東洋大など首都圏の大学と連携し、観光や産業の振興、少子高齢化など地方が抱える課題解決の実習の場を提供している。学生たちも地域に眠る「資源」を掘り起こしたり、生かしたりするまちづくりを提案している。

 同市では2017年頃から本格化させた。数人単位の学生グループが羽田便を利用して町に入って現地調査などを実施。結果をまとめて、住民らに課題解決のアイデアを報告している。

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27929 0 shimaneの今 2018/06/29 05:00:00 2018/06/29 05:00:00 グラントワで開かれた講座でバレエの歴史を語る岩永さん。「公演先の検討では交通手段は重要なポイント」という(益田市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180628-OYTAI50006-T.jpg?type=thumbnail

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