<阪神大震災26年>避難所「3密」対策に苦慮
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検温や問診など人員不足
災害避難所での新型コロナウイルスの感染防止に向け、県内自治体が対応に苦慮している。17日に発生から26年となる阪神大震災では、過密状態の避難所でインフルエンザが流行。避難者が地震で助かった命を失うケースもあった。各自治体は「3密」を避ける対策などを講じ始めたが、運営人員の確保など課題も多い。
政府はコロナの感染拡大を受けて昨年4月、避難所での感染症対策の検討を求める通知を出した。これを受け、県は市町村に対し、検温や問診のスペース確保、避難者同士の間隔の確保などの対策を求めた。
読売新聞が、県内8市に想定する地震規模や避難者数、現在指定している避難所の収容人数などを尋ねたところ、8市全てが震度6弱以上を想定。ほぼ全市で、避難者数を上回る収容人数は確保できていた。
一部の市は、感染症対策を踏まえた収容人数も算出。段ボールベッドや間仕切り、消毒液などの備蓄を進めているとした。さらに避難者の分散を図るため、避難所の追加や避難所内でゾーニング(区画分け)を検討する市もあった。松江市は、発熱者向けの個別スペースも用意する計画だ。
ただ検温や問診など健康チェックのため、「スタッフをこれまでの2、3倍確保しないと運営できない」(出雲市)、「初動対応できる職員数に限りがあるため、人員不足が生じる恐れがある」(安来市)などとする声が多かった。
また避難所での「密」を避けるため、避難所の追加や車中泊の避難者への対応などで、新たな業務が生じる可能性も。「地域の人のマンパワーが必要。訓練や地域での研修で、支え合いを浸透させたい」(松江市)、「市民の協力が不可欠で、周知を進めていく必要がある」(益田市)と、住民の力に期待する声もあった。
浜田市は、被災で実際には使えなくなる避難所もあると想定。親類や知人宅などへの分散避難の呼びかけにも力を入れ、避難所の数も今後増やす方針だ。
一方、「コロナで避難してもらいにくくなるといけない」(雲南市)、「避難所に行くのをためらう住民をどう説得するか」(大田市)といった懸念もあり、健康への影響など二次被害をどう防ぐかは、まだ明確な答えが見いだせていない。
県は避難所の分散で市町村間の調整が必要になるケースも想定。避難者の移動手段の確保や、避難所の運営人員の派遣などに「積極的に動きたい」としている。