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<島根原発審査「合格」>「地域に不可欠」「問題山積」

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規制委の審査書案了承について述べる丸山知事(県庁で)
規制委の審査書案了承について述べる丸山知事(県庁で)

 再稼働へ住民ら賛否

 原子力規制委員会が中国電力島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)の「審査書案」をとりまとめた23日、再稼働に向けた事実上のゴーサインに、首長らの発言が相次いだ。人口減が進む中、地域の活性化に期待の声がある一方、重大事故を想定した避難対策に課題を指摘する声も根強い。

 東京電力福島第一原発事故後、規制委が再稼働を了承した原発は、10原発17基目になる。再稼働には、立地自治体の同意が必要とされ、今後、県と松江市の対応が焦点となってくる。

 丸山知事は同日の定例記者会見で、「安全性や避難対策の十分な説明を受け、関係自治体などの意見を聞いて、総合的に判断する」と述べた。避難計画については「実現可能性を含めて決めていると受け止めている。議論が盛り上がる中で、計画の内容などを広報していく必要がある」とした。

 松江市の上定昭仁市長は報道陣の取材に対し、「現段階で、何か結論めいた考えがあるわけではないが、最終的には、避難計画の中身を含め(同意を)判断する」と語った。

 一方、30キロ圏内にある安来、出雲、雲南の3市と鳥取県、同県米子、境港両市は「市民の安全確保のため、周辺自治体の意見が反映されることが必須」として、中電に立地自治体並みの協定締結を求めている。

 雲南市の石飛厚志市長は規制委の了承を受け、「一つの区切り」とした一方、「協定の改定を求めていくことに変わりはない」と強調。「(改定を求める)ボールは中電にある。回答がない状況で手続きが進むなら、再度申し入れることも選択肢の一つだ」と話した。

 出雲、安来の両市長も「説明を受けた上で、総合的に判断していく」などとするコメントを出した。

 鳥取県の平井伸治知事は取材に対し、再稼働に向けた「事前了解権」を念頭に、「安全協定の問題は非常に大きい。返答がなければ、再稼働に影響すると伝えており、しっかり考えをまとめていただきたい」と注文した。

 周辺住民らからも賛否の声が上がった。島根原発から約2・5キロに住むまつえ北商工会鹿島支部長、亀城幸平さん(71)は「地域が衰退を続ける中、原子力の力は不可欠だ」と語り、規制委の了承を歓迎する。

 自宅のある地区の漁港にはかつて漁船がひしめき、水揚げした海産物を運ぶトラックが列をなした。だが、10年ほど前からそうしたにぎわいはなくなり、周辺に空き家も増えたという。

 再稼働の経済効果に期待を寄せるが、「安全が保証されてこそ。地域と共存するためにも、対策は徹底してほしい」と求めた。

 一方、島根原発差し止め訴訟原告団長を務める松江市の芦原康江さん(68)は、「避難計画が対象外の審査に異議がある」とする文書を発表。「問題が山積する中、再稼働に向けて歩を進めたことには怒りしかない」と批判した。さらに災害などのリスク評価について「あまりに過小で、再稼働は市民に危険しかもたらさない」と語った。

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2150479 0 ニュース 2021/06/24 05:00:00 2021/06/24 05:00:00 2021/06/24 05:00:00 定例記者会見で原子力規制委の審査書案了承についてコメントする丸山知事(23日午後3時5分、県庁で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210623-OYTNI50026-T.jpg?type=thumbnail

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