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<西日本豪雨3年>江の川防災 住民と考える

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浜崎さんの家の壁には、西日本豪雨や昨年の7月豪雨で浸水した跡が残る(川本町で)
浜崎さんの家の壁には、西日本豪雨や昨年の7月豪雨で浸水した跡が残る(川本町で)

 川本町 テーマで楽しみ「自分事」

 中四国で大きな被害を出した西日本豪雨から6日で3年となった。県内では、昨年の7月豪雨でも浸水被害を受けた江の川の流域自治体で対策が進む。川本町は、住民と一緒に取り組む防災プロジェクトに向け、ふるさと納税を活用して資金を集める「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」に乗り出した。(佐藤祐理)

 川本町はプロジェクトで、「防災 ×かける○○まるまる 」をテーマに楽しみながら、災害を「自分事」として考える取り組みを実施する。○○にはファッションや食などの言葉が入る。ファッションでは、お気に入りの袋やリュックで非常用持ち出し袋を自作し、食では、ピクニック形式で非常食を味わってみるといった具合だ。

 プロジェクトは、江の川が氾濫するたびに被害がある同町谷地区で、被災した町まちづくり推進課の浜崎麻弥さん(35)が、昨年の豪雨経験をヒントに考案。町が課題解決に向け、研修で募った計24の企画案から、「全国に発信できる可能性が大いにある」と、高評価を受けて採用された。

 浜崎さんは、さいたま市出身。大学、大学院で病弱教育を専攻し、地域おこし協力隊として5年前に同町に来た。任期後に住まいを探した際、谷地区の矢谷川沿いにある木造平屋が気に入った。西日本豪雨でも浸水していたが、「すぐに被害はないだろう」と、2019年2月頃に入居した。

 だが、昨年7月に被災。この平屋を管理する同地区の会社員、岩野賢さん(60)は側溝からあふれ始めた水で、矢谷川のバックウォーター(逆流)現象に気付き、すぐ逃げるよう、浜崎さんに連絡。その後、床上約50センチまで浸水したという。

 教育実習の日誌やノートは水損して捨てざるを得なかった。母が買ってくれた服も難は免れたが、捨てる物に紛れて失った。「普段、気にならなくても心の支えを失うのはつらい」と感じ、生活が元に戻るにつれて虚無感に襲われた。

 一方、地区住民らは自らも被災したのに、助けに駆けつけてくれた。地区を離れることも考えたが、「地域のために何かしたい」と残留を決め、経験を基にした企画案を出した。

 テーマの○○には同町版の防災本を作成する「デザイン」も入る。手に取りやすい冊子を作り、大切な物を記して持ち出せるように備える取り組みだ。「心の支えになる物は万が一の時に忘れがち。事前に考え、防災グッズと持ち出せる工夫ができれば」と考え、岩野さんらも応援した。

 岩野さんも3度の床上浸水を経験。西日本豪雨などで、1972年の水害からの復興に向けて設立した「江川太鼓」の記録などが水没して処分した。岩野さんは「啓発はありがたい。地区を出た人にも知ってもらい、将来に向けて古里を守りたい」と期待する。

 浜崎さんは、学校になじみにくい子たちが活動できる場も自宅に作りたいと考える。「(青々とした山や田んぼが広がる)景色を見たら力になるんじゃないか」。水害はなくならなくても、安心して住める地域になることを願っている。

 GCF 9月まで資金募る

 GCFは、自治体が行うクラウドファンディングで、地域が抱える課題の解決など、使い道(プロジェクト)を示して共感者から寄付を募る仕組みだ。税金の控除も受けられるため、各地で活用事例が増えている。

 川本町はプロジェクトで、「まちをコミュニティの力で守る防災タウンにしたい!」と掲げ、目標額は100万円。各地のふるさと納税を紹介するサイト「ふるさとチョイス」で9月6日まで募集している。

 プロジェクトの支援額に応じ、町は、オオクワガタや石見和牛などの返礼を用意している。詳しくはふるさと納税のサイトか、町産業振興課(0855・72・0636)へ。

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2184623 0 ニュース 2021/07/07 05:00:00 2021/07/07 05:00:00 2021/07/07 05:00:00 浜崎さんが借りている住宅の壁には、西日本豪雨や昨年7月の豪雨の水位の跡が残る(川本町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210706-OYTNI50022-T.jpg?type=thumbnail

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