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松江忍者 観光に暗躍…「江戸期に存在」調査裏付け

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忍者研究の第一人者として知られる三重大の山田雄司教授
忍者研究の第一人者として知られる三重大の山田雄司教授

 謎解きゲーム、動画でPR

 武者や鉄砲隊と並ぶ観光資源に育てようと、松江観光協会は今年度から、「忍者」を使った観光PRに乗り出している。松江市が事業として進めてきた専門家による調査研究で明らかになった<松江藩お抱え忍者>の存在を受けた取り組みだ。松江城での催しなどで認知度向上を目指している。(阪悠樹)

 市は、インバウンド(外国人旅行客)の誘致に向けたプロジェクトの一つとして、2018年度から忍者にまつわる調査を事業化。忍者研究の第一人者として知られる三重大学人文学部の山田雄司教授に依頼し、約3年調べた結果、江戸初期の松江藩に「忍者がいた」との裏付けに成功した。

 存在の確認を追い風に、観光協会はPRを加速。今年4月からは早速、松江城で謎解きゲーム「リアル・ニンジャ」を始めた。

 松江開府の祖・堀尾吉晴(1543~1611年)に密書を手渡す任務を負った忍者が城内に隠された謎を解き、吉晴がいる天守を目指す設定で、5月末までに500組以上が体験。全て解答すると2、3時間かかる大ボリュームで、参加者を楽しませている。

 また、動画投稿サイト「ユーチューブ」には、吉晴と忍者を巡るオリジナルストーリーを講談師が語る動画全7話も公開。このほか、山田教授が監修した松江の忍者についてまとめた冊子「まつえ流忍者のひみつ」(A5判、14ページ)を配布したり、特製グッズがもらえるスタンプラリーを企画したりと手を尽くす。

 背景には法律に記されているものの、名ばかり状態の「国際文化観光都市」としてのブランド力の底上げがある。市観光文化課の柏木健志主任は「武者や鉄砲隊に、海外で人気のある忍者が加われば、幅広い層にアピールができる。松江の新たな『キラーコンテンツ』にしたい」と力を込める。

 「リアル・ニンジャ」の詳細は、特設サイト(https://real-ninja.com/)。問い合わせは同協会(0852・27・5843)へ。

 伊賀衆 諜報役も…三重大山田教授に聞く

 松江の忍者とはどのような存在だったのか。研究を進めた山田教授に聞いた。

 松江の忍者は、あまり知られていなかったが、伊賀(三重県)と関係があるとみられていた。機密情報を扱う忍者の記録はほとんど残っていないが、松江には他よりも史料が豊富に残り、調査の助けとなった。

 中でも、江戸初期の松江城下で、どの世帯にどんな人が住んでいたかを描いた「堀尾期松江城下町絵図」(島根大図書館所蔵)によると、現在の松江市外中原町付近には、伊賀出身者とみられる名前が30軒ほど密集。これらに岡山藩主・池田家の古文書にある名前と一致するものがあり、忍者の存在が裏付けられた。

 ルーツは、「第2次天正伊賀の乱」(1581年)で伊賀が織田氏に滅ぼされた後、浜松(静岡県)にいた堀尾吉晴に仕えた忍者だと思われる。吉晴はその後、松江を開府したが、この時に伊賀衆も入府。彼らは火の扱いが得意で鉄砲隊として活躍したが、他衆よりも優遇され、忍者として 諜報ちょうほう 役も担ったと考えられる。

 ただ、忍者が松江でどんな活躍をしたかは今も分からない。だが「正体が分からない」ことこそ、忍者の魅力。アニメや漫画など多くの創作物で描かれるように想像力をかき立てる。

 国宝の城があり、「忍者がいた」となれば、観光客の注目も一層集まるだろう。

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2203704 0 ニュース 2021/07/14 05:00:00 2021/07/14 05:00:00 2021/07/14 05:00:00 忍者研究の第一人者として知られる三重大学の山田雄司教授(松江市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210713-OYTNI50029-T.jpg?type=thumbnail

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