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数字に着目 1人あたりの所得38位
鳥取県と島根県が一つの選挙区で行われる参院選。東西の移動距離は300キロを超えるほど広いが、両県は「山陰地方」と総称されるなどつながりは深く、共通点は多い。数字に着目して紹介する。(安恒勇気)
■女性首長1人のみ
両県とも女性が働く割合がとても高い。2017年の総務省「就業構造基本調査」によると、生産年齢人口(15~64歳)における女性の就業率は、島根が74・5%で全国2位、鳥取が73・7%で5位と、上位を占める。
また育児をしている女性の就業率は、島根が81・2%で全国トップ。鳥取は77・2%で7位と、こちらもトップ10圏内だ。
選挙で選ばれる女性の県議会議員の割合(2017年)をみると、鳥取は11・8%(34人中4人)で13位、島根は8・3%(36人中3人)で24位。ただ女性の首長は、鳥取県琴浦町の福本まり子町長(69)しかいない。
■東西の距離
鳥取・島根選挙区は広い。東端の鳥取県岩美町
それほど広いため、選挙カーは各県1台ずつの換算で計2台の使用が認められている。合区選挙を戦う各陣営は、少しでも負担を軽く効率的に活動しようと、鉄道で移動したり、夜中に岡山県や広島県を横断する中国自動車道を走って選挙カーを移したりするなど、工夫を凝らして戦ってきた。
ちなみに、もう一つの合区「徳島・高知選挙区」はさらに広大だ。北東の徳島県鳴門市から南西の高知県大月町までは直線で241キロ。室戸岬(高知県)を経由した太平洋沿いのルートでは393キロあり、所要時間は7時間25分だった。
■生産
鳥取県が発行する21年度「100の指標からみた鳥取県」で両県の産業構造などを見ると、1次産業の就業者比率は、鳥取が全国10位(9・1%)、島根が14位(8・0%)。農家世帯の割合は、鳥取が長野、岩手に次ぐ3位(9・71%)で、島根も5位(9・31%)だ。
一方、1人あたりの所得は、鳥取43位(251万円)、島根38位(266万円)と、トップの東京(541万円)の半分以下。生産年齢人口の割合は、鳥取が55・0%で36位、島根が53・3%で46位と、主な働き手となる世代の割合はほかの都道府県より低い。
数字で眺めた山陰は、都会と比べて高齢化が進み、所得などで格差がある一方、職に就く女性の割合が高いなど多様な働き方が受け入れられる土壌がみられる。参院選では、山陰の未来を左右する票の行方に注目が集まる。