低山での遭難相次ぐ 県警「登山靴、防寒装備を」
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県内で低山での遭難が相次いでいる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、富士山などの高山では登山道や山小屋の閉鎖といった措置が取られたため遭難は激減しているが、低山には日帰りのハイキング感覚で訪れる人も多く、昨年を上回るペースで遭難が起きている。県内各地で紅葉がピークを迎える中、登山者の増加が予想されることもあり、県警が注意を呼びかけている。(浦上華穂)
県警地域課によると、今年1月~11月15日の山岳遭難件数は前年同期比60件減の24件だった。このうち、登山道が閉鎖されるなどのコロナ対策が取られた富士山は51件減の2件、南アルプスは12件減で0件となった。
一方、登山規制などが実施されていない、いわゆる「低山」での山岳遭難は22件で昨年同期よりも3件増えている。単独登山者の遭難が多く、8月には川根本町の山中で単独登山をしていた男性が滑落して死亡している。
1100メートル級の愛鷹山などは、日帰りの登山も可能とされている。コロナの影響により飲食や旅行の自粛ムードは依然強く、木々に囲まれた中で多くの人との密集を避けながら楽しむことができる低山登山に出かける人は多いとみられている。
ただ、低山は高山に比べて登山道以外の作業道などが多く、迷いやすいといった指摘もある。登山者の中には軽装で登山に臨んだ結果、遭難してしまうケースも少なくないといい、県警は10月、低山での救助を想定した訓練も実施するなどして警戒を強めている。
遭難を防ぐために、県警が推奨するのは「登山計画書」の事前提出だ。
計画書は氏名や連絡先のほか、登山ルートや入山日、持ち物などを記入するもので、県警にネットやファクスで提出できるほか、日本山岳ガイド協会で運用しているオンライン登山届「コンパス」による提出も可能だ。単独登山後に遭難してしまい、連絡が取れなくなった場合に迅速な救助活動が期待できるという。
また、県警に提出された計画に不備があると判断された場合は、「落石が多い地点があるため、このルートは危険」「夜間に及ぶ可能性もあるので懐中電灯を持って行くべきだ」などのアドバイスをしている。
地域課の担当者は「登山の際には、低山でも登山靴や防寒機能のある服装などの装備をしてほしい」としたうえで、「冬山は雪や寒さなど、遭難リスクが高まる。経験者と一緒に登ったり、整備された登山道を歩いたりするよう努めてほしい」としている。