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    具包む機械シェア世界一

    田代 康憲社長66レオン自動機

    ■まんじゅう、パン…形状自在

     誰にもなじみのある和菓子や洋菓子、冷凍食品――。レオン自動機の機械が製造した食品を口にしたことのない人は、いないと言っていいだろう。その名こそ一般消費者の目に触れることは少ないが、食品業界に“革命”を起こしてきた。田代康憲社長(66)はその軌跡を胸に、新たな境地を切り開こうとしている。(聞き手・市川大輔)

    ■開発

    • まんじゅうを製造する製品について説明する田代社長(12月、宇都宮市のレオン自動機で)=市川大輔撮影
      まんじゅうを製造する製品について説明する田代社長(12月、宇都宮市のレオン自動機で)=市川大輔撮影

     ――食品業界が「顧客」の、いわば「メーカーのためのメーカー」。消費者になじみが薄いが、どんなものを作っているのか。

     「中にあん(具)の入った食べ物をつくる『包あん機』が主力製品です。林虎彦名誉会長(87)が約50年前、まんじゅうを包む作業を省力化しようと世界で初めて開発しました。クッキー、パン、コロッケ、中華まん、かまぼこなども作れます。スーパーやコンビニに並ぶ見慣れた商品には、弊社の製品で生産したものが数多くあります」

     ――まんじゅうのような和菓子だけでなく、幅広い食品を作ることができる。

     「基本となる機械がまずあり、希望に応じた部品をつけることで幅が広がります。球状・俵状にする、表面にひだをつける、均一に粉をつける、挟む、カットする――。顧客から『こういう商品を作りたいので新たな部品を作れないか』と相談されることもあります」

     ――食品機械の購入は、メーカーにとって大きな設備投資。購入のサイクルは。

     「1回売れると、次に売れるまで早くて10年、長ければ20年かかります。ただ、既存の設備だけでは生産が間に合わず、増機という形で買ってもらえることがあります。バージョンアップした製品を見て、新商品の生産のためにすぐに購入してもらえることもあります」

    ■従来の3倍超

     ――どのような新製品があるのか。

     「昨年発売した最新の包あん機『メガフォーマー』は、食肉や水産加工品向けで、生産能力が従来の3倍超です。1列のラインで、1時間あたり1万2000個を生産できます。生産性を求める海外を意識した製品です。弊社の強い分野は製菓、製パンですが、調理食品分野に対応していく目的もあります」

     ――為替相場が円安基調だ。

     「売り上げの3割が海外なのでありがたいです。ただ、行き過ぎも困るので理想は1ドル=100~110円です。原材料価格の高騰で国内の顧客が苦しいためです。菓子やパンなどの食品製造は小麦や砂糖、バターを輸入しており、商品価格に転嫁するのが難しいと思います」

     ――海外向けも、国内と同じ機械を製造しているのか。

     「中にあん、外に生地と二つの材料を使った食べ物は世界中にあります。機械や部品は日本とほぼ一緒です。最近の売上高の海外比率は30%台前半ですが、今後は増やすつもりです。既にアフリカも含めて115か国で販売実績があります」

     ――特に重視する地域は。

     「欧米は停滞しており、アジアを伸ばしたいです。中国の事務所を大きくする必要があります。タイなど東南アジアに拠点を置くことも検討しています。今は欧州、米国と同じくらいの売上高ですが、近い将来、頭一つ抜けるでしょう」

    ■食品以外

     ――今後のカギは。

     「『開発型企業』として、高機能の新製品を出し続けることと、海外展開です。一部の顧客はすでに、弊社の製品を使ってせっけんやドッグフードなど食品ではないものを成形しています。食品以外の分野でレオンの技術を生かせるなら、進出していきたいです」

     「欧州には大きいパン工場だけでなく、小さいパン屋が多いです。その一つひとつに見合うような小型で安価な機械を提案したいです。大企業以外にもお客様を広げたいと思います」

    【輸出額は増加傾向】

     日本食品機械工業会(東京)の調査によると、2012年の食品機械の国内販売額は4385億円。10年前の02年(4598億円)より200億円余り減少し、リーマン・ショック(2008年)後の落ち込みから回復しきれていない。

     一方、輸出額(12年)は325億円で、02年(147億円)の2.2倍に急増した。リーマン・ショック後にV字回復し、増加傾向を維持している。輸出先は、アジアが4分の3と大半を占め、北米、西欧、中南米が続いている。同工業会は「輸出は今後もアジアを中心に成長するだろう」と分析している。

    【会社概要】

     製菓業を営んでいた現名誉会長の林虎彦氏が、社名の由来である「レオロジー」(流動学)研究の末に世界初の包あん機を発明し、1963年に設立した。74年に米と独に子会社を設立。89年に東京証券取引所1部に上場し、東京営業所を開設した。2008年にアジア拠点として台湾に子会社を設けた。世界での包あん機の市場占有率は約90%。13年3月期の売上高は119億円。従業員は約700人。本社は宇都宮市野沢町2の3。

    【社長プロフィル】

     たしろ・やすのり 宇都宮市出身。1970年、日大生産工学部を卒業し、レオン自動機に入社。開発、設計などの技術畑を歩んできた。2011年に3代目社長に就任。創業家以外から初めての生え抜き社長となった。日本食品機械工業会理事や県経営者協会副会長を務める。

    2014年01月15日 00時57分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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